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押入れで物々交換していたら、異世界につながっていました!?  作者: あけはる


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第5話

ちょっとゆっくり進みます。

 翌朝。

 真琴は、ほとんど反射で押入れを開けていた。


 ――何も変わっていない。


(そりゃそうか)


 昨日、紙を入れたのは夜だ。

 返事が来るとしたらまた夜の可能性が高い。


(分かっているのに、確認しちゃうな)



 仕事の資料を作りながら、頭の端に残るのは、

 ○と×、棒人間、三日月。


(月は夜ってことでいいよね)


 昨日の絵を思い返す。

「食べた」の横に、月。


(夜に食べた、ってこと?)


 昼ではなく、夜。

 繰り返し強調されている気がした。


 夜。

 真琴は少し早めに風呂を済ませ、

 部屋着のまま押入れの前に座った。


 襖を開ける。

 胸が跳ねる。


 紙は二枚おかれていた。


 上の一枚を、そっと取り出すと

 描かれていたのは、また絵だった。


 棒人間と建物。


 その周りに、ぐるりと線。


(囲い……?)


 棒人間は、その中にいる。


 横に、三日月。その下に、○が書かれている。


 2つ目の髪には


 同じ棒人間と太陽らしき絵。

 その下に、×。


(昼は×。夜は○)


 つまり。


(夜だけ、返せる?)



 2つ目の絵の隅には。

 棒人間の頭のあたりに、細い線が何本も描き足されていた。


(ふふ……髪が足されてる)

 しかも、薄い。


(ちょっと灰色、っぽいかな?)


(きっと自分の姿を、描いたんだ)



 真琴は、新しい紙を取った。


(どう返そう)


 相手は、夜に返事を書いているらしい。


(だったら)


 描く。


 自分の家と中にいる棒人間。

 太陽の下に、○。

 三日月の下にも、○。


(私は、いつでも大丈夫っと)


 真琴はそっと紙を箱に戻した。



 襖を閉めてから、真琴は少しだけ想像する


(夜しか、自由じゃないとしたら)


 理由は分からない。顔も立場も、場所も何も知らない。


 でも。

 押入れの向こうにいる“誰か”が、

 思っていたより、窮屈な状況にいるのだとしたら。


(……大丈夫かな)


 心配が先に出たことに、自分で驚く。

 ただの不可思議な現象だったはずなのに。


 今はもう、「誰か」に親近感すら覚えて始めている。


 真琴は、そっと息を吐いた。

 次の夜も、きっと押入れを開けるだろう。


 ちょっと楽しみだ。

次話は急展開予定です。


最後までお読みいただきありがとうございます。

楽しんでいただけましたら幸いです。

もしよろしければご評価やブクマなど応援いただけますと嬉しいです。

よろしくお願いします!

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