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押入れで物々交換していたら、異世界につながっていました!?  作者: あけはる


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第4話

 朝、真琴は押入れを開ける前に考え込んでいた。


(文字は……通じない)


 これはもうはっきりしていた。

 翻訳アプリでは無理だった。


(でも行動なら、ちゃんと返ってくる)


 クッキーは消えて代わりに草が来た。

 水とお粥もなくなって、手紙と櫛が届いた。


(だったら)


 真琴は、小さく息を吸った。



 机に向かい、新しい紙を一枚取り出す。

 ペンを持ったまま考える。


(幼稚すぎるかな)


 でも、今さら格好をつけても仕方がない。


 真琴は、ゆっくりと線を引いた。

 丸い頭に、棒の体。

 いわゆる棒人間だ。


 その横に、小さな吹き出しを描いてみた。

 中に、文字の代わりに○と×。

 (〇とか言う概念が通じるかわからないけど)


 次に、スープの絵。

 矢印を引いて、棒人間へ。


 その先に、○。


(……「人間ですか」「食べ物、食べましたか」)


 自分の中で一応意味を確認して、紙を折りたたむ。


(通じる、かな)


 不安はある。

 けれど、何もしなければ、何も分からないままだ。


 真琴は紙を箱に戻し、そっと蓋を閉めた。



 その日の夜。


 襖を開けた瞬間、真琴は小さく息をのんだ。


(……おお!)


 箱の中で、紙が少しずれている。

 スープとタオルはなくなっていた。

 代わりに置かれていた紙を、そっと取り出す。


(描き足されてる……)


 自分の描いた棒人間の横に、

 もう一人分の同じような人型が追加されていた。


 姿勢はまっすぐで、服の線らしきものが描かれている。

 頭の部分には、細い線が何本も重ねられていた。


(髪、だよね)


 しかも、その線は、他より少しだけ薄く書いてある。


(どういうこと?)


 確信はないが髪の色の表現かな

 吹き出しの中は

 ○。

 その横に、見知らぬ文字が一つ添えられている。


(肯定かな……たぶん)


 スープの矢印の絵にも、同じ○。


 さらに、その下に、小さな三日月のような絵が描き足されていた。


(……月?)


 一瞬、意味が分からず首を傾げる。


 だが、すぐに思い至った。


(夜、のこと?)


 食べた、という意味に、なぜ夜を添えたのか。


(夜にしか、受け取れない?)


 想像が飛躍する。

 相手は、自由な立場ではないのかもしれない。



 その晩、真琴はすぐには返事を書かなかった。


 紙を机に置き、何度も眺める。


 ○と×、人の絵、三日月。


 言葉は通じなかったけど、

 きちんと答えが返ってきている。


(分かろうとしてくれてる、と受け取っていいよね)


 それが、不思議と嬉しかった。

 真琴は新しい紙を取り、今度は少しだけ考えながら描いた。


 家の絵。

 自分を示す棒人間をその中に描く。


 木箱を書き加え、太陽と、月を矢印でつなぐ


 分からないなら、分かる形を探せばいい。

 押入れの奥にいる“誰か”と、

 少しずつ、共通の理解を積み重ねていくのがなんだか心を弾ませる。


 真琴は紙を箱に戻し、襖を閉めた。

 

 明日はどんな会話ができるのだろうか。

最後までお読みくださりありがとうございます。

楽しんでいただいていましたら幸いです。

もしよろしければご評価やブクマなど応援いただけますと嬉しいです。

よろしくお願いします!

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