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押入れで物々交換していたら、異世界につながっていました!?  作者: あけはる


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12/13

2-2

 視界が、白く弾ける。

 音が消え、上下も、前後も、分からない。


 体が引き延ばされるような感覚と、

 強く縮むような感覚が、同時に来た。


(……落ちてる?)


 いや、通っている。


 何かの「間」を。


 祖母の声が、

 ふと、脳裏をよぎった。


『扉はね、開くものじゃないの』


 この先で何かが、確かに待っている。


『呼ばれるの』



 ――どん。


 鈍い衝撃。

 空気が、肺に一気に流れ込む。


「……っ!」


 げほげほと咳き込みながら、真琴は床に手をついた。


 冷たい石の感触。土と、古い木と、紙の匂い。


 顔を上げる。


 そこは、見知らぬ部屋だった。


(うわあ)


 高い天井。石造りの壁。

 壁一面に並ぶ、古い書架。


(……図書館?)


 灯りは、淡いオレンジだ。

 窓はなく、外の気配は分からない。

 真琴は、息を整えながら立ち上がった。


「真琴、なのか・・・!」


 名前を呼ばれた。



 想像よりもずっとずっと、美しい青年が立っていた。


 銀色の髪はキラキラと輝き、肩にかかっている。


 薄紫の切れ長の瞳にツンとした鼻、薄い唇は桃色。

 目を見張るような整った顔立ち。

 

 どこか疲れた影を帯びた表情に

 はっきりと分かる――安堵を浮かべている。


「……本当に、来た」


 呆然とした声。

 

(リヒトさん、なの?)


 上手く声が出ない。

 言葉より先に、胸がいっぱいになる。


「……無事、か」


 真琴は、何度も瞬きをしてから、

 やっと頷いた。


「……うん」


 それで十分だった。



 リヒトは、深く息を吐いた。


「間に合った……」


 そう呟いて、疲れたような表情に初めて、

 苦笑に近い笑みを浮かべる。


「正直に言うと、半分賭けだった」


(賭け?)


 問い返そうとした瞬間。

 遠くで、金属の音が響いた。


 ――足音。


 複数。


 リヒトの表情が、一変する。


「・・・まずい」


 彼は素早く近づいて来ると、真琴の手首を掴んだ。

 迷いのない力。


「いきなりですまないが、移動する。

 ここは長くいられる場所じゃないんだ」


「え、ちょ、ちょっと!」


 慌てる真琴に一瞬だけ、鋭い薄紫の瞳を向ける。


「説明は後だ」


 不思議と恐怖はなかった。

 ここまで来て、ためらう理由なんてもうなかった。


 扉のない書庫の奥へ、

 二人は駆け出す。


 追いかけてくる気配を背に感じながら。



 その夜。


 ヴァルグレン公爵家の文書庫で、

 一つの“異変”が記録された。


 ――未登録存在の侵入の疑い、あり。

やっとご対面です!長かった・・・!


最後までお読みいただきありがとうございます。

楽しんでいただけましたら幸いです。

もしよろしければご評価やブクマなど応援いただけますと嬉しいです。

よろしくお願いします!

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