【人物紹介】 とある報告書によると①
一学期も終わったので今までの人物紹介の回になります。
*誤字脱字報告ありがとうございます! 毎回とても助かっております!
魔法も異能も使えない近隣の国、オーフィン王国。
そんな国に次年度に留学することが決まった。なぜ、そんな凡人しかいない国にこの俺様が。大人が言うには、だからこそオーフィン王国がなぜ栄えているのかを学ばなければいけないらしい。馬鹿馬鹿しい。
しかし、国からの命令だ。行くことは行く。行くのだが。
俺は重度の人見知りである。そんなことよりももっと重大な心配事がある。だって俺の魔法は……。
下調べは十分に越したことはない。秘密裏に頼んでおいた報告書が先ほど届いた。
俺は意を決して報告書に目を通す。
***
現時点での報告は以下の通りである。
◇ シモーヌ・ベルジック侯爵令嬢(15)
ベルジック侯爵家長女。158cm。髪も瞳も紺色。友人少ない。大人しい。挙動不審。
趣味は読書。猟奇的なものもOK。むしろ好む。清楚。隅っこ同好会の姫のような立ち位置に見える。
◇ フランシス・ラザノ伯爵令息(15)
ラザノ伯爵家三男。170cm。髪は紅茶のような色。瞳は前髪が長くて確認不可。そばかす有。顔普通。
癖も特徴もない。シモーヌ嬢の後ろの席。いつも男三人とシモーヌ嬢といる。
◇ ジャン・コガン子爵令息(14)
コガン子爵家三男。161cm。髪も瞳もブラウン。前歯が大きい。小さい。小さくて煩い。
とにかく煩い。飛び級が疑われるほど子供っぽい。女子が嫌いらしい。
◇ ビクター・ウリエル男爵令息(14)
ウリエル男爵家五男。180cm。髪は赤で瞳は緑。体格がいい。兄弟は皆騎士団所属。寝癖有。
見た目を気にしない。がさつそう。絶対がさつ。留年が疑われるほどでかい。
★ クリストフ王太子殿下(15)
オーフィン王国王太子殿下。175cm。髪は金で瞳はロイヤルブルー。あからさまに見た目が王族。
長年の想いを叶えた婚約者有り。戦争になるのでくれぐれも失礼のないように。
★ ジル・ドルレアン侯爵家令息(14)
ドルレアン侯爵家嫡男。163cm。髪はアッシュグレーで瞳はグレー。メガネ。父は宰相。
小柄。冷静沈着だが、戦争になるのでくれぐれも揉めないように。
★ ジョルジュ・アルディ辺境伯令息(15)
アルディ辺境伯家嫡男。183cm。短い髪も瞳も黒。怖いくらい体格がいい。品はあるが無骨。
次期辺境伯だけあり貫禄あり。怖い。戦争になるのでくれぐれも怒らせないように。
★ ベルナール・ディアナ公爵令息(15)
ディアナ公爵家嫡男。177cm。銀髪に瞳は薄紫。男前だが胡散臭い。王太子に似ているので注意。
よくわからないモテ男だが王太子の従兄弟。戦争になるのでくれぐれも女性関係で揉めないように。
⭐︎ レニー・ステイシー公爵令嬢(14)
ステイシー公爵家長女。160cm。髪はすみれ色で瞳は淡いブルー。お綺麗。語学堪能。遊学経験有り。
行動派。クリストフ王太子殿下の婚約者。戦争になるのでくれぐれも手出し厳禁。
⭐︎ アデル・ルソー侯爵令嬢(14)
ルソー侯爵家四女。150cm。髪はふわふわピンクで瞳もピンク。顔も見た目も派手。
クリストフ王太子の婚約者として振る舞っていたため当職も勘違いしていた。気が強そう。
◆ アラン・ベルジック侯爵令息(20)
ベルジック侯爵家嫡男。185cm。髪も瞳も紺色。シモーヌの兄。近衛隊所属。
とにかく見目麗しいのだが……。とにかく出世頭なのだが……。とにかく憧れの的なのだが……。
***
は?
何だ、この報告書は。国の機関が調べたはずだが。相手が学園の生徒だから手を抜いたのか。
とにかく主観が酷い。酷すぎる。怖いとかお綺麗とか何だよ。
あと、すぐ戦争になるかもしれないほどの地位がある奴が多すぎ。もし戦争が起きたら、絶対俺のせいになるやつだろ、これ。
それに俺がオーダーしたのは、次年度から同級生になる主要人物についてだ。
なのに最後の大人は何なんだ。しかも「だが……」って何だよ。だが何があるんだよ。怖いよ。
あー、憂鬱だ。そんな国の学園に留学しないといけないなんて……。
あと8ヶ月か。それまでに俺の魔法を何とかしなければ。
あともしあれば、オーフィン王国のペナントが欲しい。近隣国のはほぼ集めたので、ぜひとも手に入れて自室の入口に飾りたい。
あとできれば留学先で婚約者が欲しい。べ、別に女になんて興味はないんだけどね。
あー…あー…
お読みいただきありがとうございます。
名前だけでも覚えて帰って下さいね。
本編は本日21時に投稿する予定です。