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episode5 英雄

「あっちゃーこれは意外と大物だ」


そう呟く幸の目の前にいるのは、黒いドロドロとした塊だった。

周りにはもう避難済みなのか人ひとりいない。


「まるでスライムの失敗作みたい」


身体の一部であろう黒い液体が地面に落ちるとジュと音を立て地面が溶けだした。


「まるで硫酸だ。少しでも触れたら大怪我じゃ済まないね。」


そう言って幸はジェットをポッケから取り握りしめた。

すると黒色が段々と赤くルビーのような色へと移り変わりエアライフルへと姿を変えた。


「レザーだったら楽だったんだけどスザーだからまずはライフルの方がいいよね。」


レザーとは穢からとれる硯が丸見えの状態のことで逆に見えてない穢をスザーと呼ぶ。


「こういう実態の穢は、身体の真ん中に硯があることが多いいんだよね〜」


そう言って幸はエアライフルを肩に構えスコープを覗き身体の真ん中に合わせた。

穢れが幸めがけて身体を伸ばしてくるが幸は気にせずスコープを覗く。


穢があと少しで幸へとどく時トリガーに手をかけ呟いた。


「ここ」

”バンッ”


撃ち放たれた弾薬は、穢の身体を撃ち抜いた。

ビクッと動きを止めた穢は、痙攣した後、身体が炭のように崩れ落ちそこに残るのは砕けた黒い宝石()だった。


「うーん、見た目からして大きさは《《拳》》くらいかな?」


地面が爛れ周辺のビルが崩壊しあるのは砕けた硯と幸1人だけだった。



◇◇◇



「お久しぶりです。白柳さん」

「あ、久しぶりだね犬飼くん!」


数分後ある一人の青年を先頭に計3人がこちらへ向かってきた。


先頭にいる青年は、犬飼護いぬかい まもる

A級狩人であり、狩人教会のどっかの偉い人と幸は記憶している。


「どうしてここに犬飼くんがいるのー?」

「先程穢が出たと通報を受けまして近くにいるのが私たちだったので来たのですが…遅かったようですね」


幸の問に地面に転げ落ちている硯をみて申し訳なさそうに言った。


「遅くなんてないよ〜、ただ私がめっちゃ近くにいて悲鳴が聞こえた瞬間に駆けつけたから私が早いなんて当たり前だしね!」

「そうですか…励ましありがとうございます。急で申し訳ないのですが穢がなんだったか教えて貰いませんか?」

「えっと、穢は、スザーで種族はスライム。まるで身体が硫酸みたいで触れたところからあの地面みたいに溶けていった。」

そう幸が指をさす先には地面がぶくぶくと泡立ち液状に解けていた。


「それは…厄介でしたね」

「んー・・そんなこと無かったよ。スライム系の穢は、身体の真ん中に硯があることが多いしそこにライフルで撃ち抜いたら案外呆気なく討伐できたしね」

「…そうですか」

「あ!それより私これから汲ちゃんとご飯食べる約束してるの!もう行っちゃってダメかな?」

「えぇ聞きたいことは聞けたのでもう大丈夫ですよ」

「そぅか!じゃあ後は宜しくね!バイバイ犬飼くん」


そう言って私は背を向け手を振り別れた。



◇◇◇

side


「犬飼さん」


部下の一人である金髪で一見チャラチャラしてそうな見た目の男、(ひいらぎ)が犬飼に声をかけた。


「…分かっている。露都ろと。」

「・・・・」


先程とは口調が違う犬飼に声をかけられた少女は、桃色の髪をツインテールしておりその髪を揺らしながら硯に近づき手袋をはめ、ある器に硯を入れた。


「なに級だ。予想でいい」

「この大きさだと…B級くらい」

「うぇッ!」

「はぁ…」


B級と聞いた枸は、驚きの声を発し、犬飼はため息をついた。


「B級の穢をソロ…しかも時間も5分も経っていない被害者も出ていない…」

「さすが英雄っすね」

「うん」


枸の言葉に賛成するように露都は頭を縦に振った。


「…これをさすがという言葉で片付けてもいいものか」


頭が痛いというように犬飼は、眉間を解しながら呟いた。


「まぁまぁ、怪我人も出ず被害と言えば周辺の建物ぐらいなんすから良かったって喜びましょうよ」

「B級の穢でこれはいい事。枸の意見と一緒なのは嫌だけど喜ばしいこと。」

「ちょっとちょっとそれは、どういうこと〜?みりねちゃぁん〜??」

「・・・・・」

「はぁ、本部へ帰るか」

「コクリ」

「えっ、無視なの?ねぇ無視なんすか?ちょ、置いていかないで下さいすよ!」

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