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episode2 奔放不羈

”バァン──”

私は勢いよく重々しい扉を開けた。


開けた先には人が何人いるか判別出来ないほどいて無数の視線がこちらに向けられていた。


それを気にせず前へ進む。

何故私がこんな突拍子もない行動に出るのかその理由は今から1時間前のことである──。



◇◇◇

8:25


「あ、そういえば〜最近ゴタゴタしてて、伝え忘れていたのだけれど明日幸ちゃんのメンテナス日だからね〜」

「ちょ、ちょっと待って聞いてない!犂夏さん!」

「言い伝え忘れていたもの〜」

「無理無理!明日は新学期!」

「う〜ん、でも幸ちゃんが最後だから誰かと交代出来ないし」

「くっ、ここで面倒くさがって後まわしにしてたツケがきたか…」

「自業自得ね〜」


メンテナス日とは、穢と戦うために必要な黒いひし形の宝石(武器)、通称ジェットの異常が無いか確認する作業である。


「どうしても行きたいの?」

「行きたいというか〜行かないと取られちゃうから」

「取られちゃう?」

「わたしが通ってる狩人育成機関学校は、2年が1年の世話係になるの、持つ1年の人数は、2年の階級によって変わるんだけどね」

「へ〜面白いわね〜」

「でも、早い者勝ちだから〜早くしないと良い人材奪われちゃう〜」

「ううん〜選ぶのって今日じゃだめなの?」

「・・・犂夏さん天才!そうじゃん!明日行けないなら今日行けばいいじゃん!ちょっと今から行ってくる!」

「行ってらっしゃい〜」


興奮した状態で幸はいきおいよく部屋から飛びだしドアがバタッンと音を鳴らした。

その様子に犂夏は笑みを漏らした。


その時ドアが開いた。


「あれ、幸は?」

「あら〜憂くんじゃない、幸ちゃんなら今さっき部屋から出てある場所に行ったわよ」

「ある場所ですか?」


入れ違いに来た憂は、幸を探しているようで居ないと分かるとショボンと肩をおろした。

犂夏の言葉に疑問で返すと犂夏はにこりと笑って言った。


「狩人育成機関学校へ」



◇◇◇


とこのような経緯が有り幸は入学式へ突撃している。


周りからは自分が本物の白柳幸かどうか疑う声がザワザワと上がるが本人は気にしていない。

元々S級は、狩人の頂点であるためメディアに出演することが度々ある。

そんなことより幸は他に気にするものがあった。

ここに来たのはある5名を見つけるためだ。


さぁ〜て、あの子たちはどこにいるかな?

確か記憶には主人公達は真ん中の一番端にの席に座ってるって・・・あ、居た。


黒髪に黒目、平凡といった顔立ちなのにも関わらずなにか目が離せないそんな雰囲気を持った少年。

あの子がこの世界の主人公──杏堂夏弥。

その両隣に居るのはヒロインの雪那鈴菜と黒峰楽かな?後の2人はこのシーンでは、出てこなかったはず。

──まぁ名前呼べばいっか!


主人公の元へ行こうと足を進めるとある人が目に入った。

銀髪に瑠璃瞳。まるでオオカミのような風貌を持つ美青年は、月宮浪牙。生徒会長である。

こちらを目を見開いて見る様は驚きの顔色が浮かんでいる。


あ、目が合った─

笑みを浮かべると浪牙は、いきおいよく顔を背けた。

その様子に変わってないなぁと懐かしみを覚えつつ気がついたら目的の人物の元へ辿り着いていた。


どこから見ても平凡でどこにでも居る男子高校生だ。この少年に世界がかかってると思ったら思わず笑いそうになったが何とか堪えて向き合う。


「ねぇ、少年、君はこの学園の伝統的なものを知っているかい?」


主人公を横目で見ながら問いかけた。

「え、僕ですか?」

「うん、君。」

「えっと、すみません知らないです…」


急に声をかけられ驚いている少年に説明をするように話した


「この学校は、少し特殊でね。2年が1年の世話係のような役目をするんだよ、一緒に訓練をしたりグループ活動をしたりとね。

それで私もそれに参加しようと思ってるんだ、だけど残念ながら明日に予定が入ってしまってね。誰と誰が組むかは、当事者で決めるし、早い者勝ち。だから私は、明日行けないなら今日行けばいいとなってね。こうして来たんだよ。」

「は、はぁ」

「ハハ、混乱してるね!」


何を言おうとしているのかよく分からないといった様子の少年に私は笑った。


「まぁ、つまり言いたいのは1年の中から5人受け持とうかなと言いたいのだよ!」


幸の言葉に周りが騒ぎ出した。


まぁ、そりゃそうだろう、現役S級狩人、しかもその中で最強と呼ばれている人と訓練などできるのだから騒ぐのも無理は無い。


「私が受け持とうとしているのは5名。」


声が体育館全体へと響く。

静寂に包まれまるで人が居ないかのような静けさを保っている。

ここにいる全員が幸の言葉を待っているのだ。


周りを見渡して、見つけた3人、見つけれていない2人の記憶を思い出す。


「──黒峰楽。雪那鈴菜。布里名冬雪。獅子堂雅。そして──杏堂夏弥。以下5名を指名する。」


この世界の主役キャラ達の名前をあげて言った。

それと同時に心の中で呟く。


もうすぐ始まるよ──。と




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