episode2 八地方代表会議
19:30 羽田空港
「んー着いたぁー、もう身体バッキバキ」
身体を上に伸ばしストレッチした状態で幸は言い、大塚は、スマホで時間を確認した
「今なら5分遅刻で済みそうだな」
あれから、1時間半経ち北海道から東京へ移動した。後は会議場所へ向かうだけである。
車に乗り込んだ幸と大塚。
「あ〜やっとゆっくり出来る〜」
背もたれに寄りかかり呟いた幸に大塚は苦笑いを浮かべた。
「戦ってからすぐ、ジェット機に乗って移動だったもんな」
「そうだよ!!しかも私は12時に北海道に向かって着いてすぐ戦闘!それから6時まで穢の全滅を確認出来るまで留まってそれからすぐ東京へ帰って車に乗って会議!ハードすぎでしょー!!」
「まぁ、なかなか無いなそんなスケジュールは」
「でしょー、もうクタクタ絶対会議中寝る」
「寝るな、起きろ」
「え〜」
そう不貞腐れたように言う幸に話題を変えようとようと今思い出した事を話題を出した。
「それより、明日嬢ちゃんが通ってる高校の入学式だろ」
「え、あ〜そうだっけ?」
「一応通ってる学校だろ…」
「だってー、行ったことないんだもん〜」
S級は、学校へ通うことが免除されているため学校へ戸籍はあっても実質1回も幸は通ったことは無い。幸が通う学校は、特殊で穢を討伐する狩人を育成する学校である。
「今年で嬢ちゃんは、2年生かー、早いな」
「……そういえば今年って何年…?」
「あ?確か2047年だが」
幸の疑問に答えた大塚。2047年と呟いた幸だが急に笑顔を浮かべた。
「大塚さん、やっぱり行く、高校に行く」
「どうした急に?」
「んーん、なんでもない」
急に心変わりした幸を疑わしく見つめる大塚だったが目的地に着いたためこの話は終わった。
◇◇◇
「いつ見ても豪華で大っきい扉〜」
「早く開けろよ、もう5分遅刻しているんだぞ…」
「はいは〜い、ただいま来ました〜遅刻してすみm「すみませぇんね、お前より強くて」……」
「強い?寝言は寝て言え、後先考えず突っ込むの間違えだろ」
「お前は弱いから後ろから攻撃するしか出来なくて可哀想だな〜」
「お前みたいなやつがいるから俺が後ろでサポートしなくちゃいけなくなるんだろ」
「……喧嘩中、どうしよ大塚さん」
「俺に聞くな嬢ちゃん…」
「あら〜?幸ちゃんと菫ちゃん?」
「あ!犂夏さん!」
困り果てている幸と大塚に助け舟を出したのは犂夏だった。
「はいはい〜、憂君も杏椰君もその辺で幸ちゃんと菫ちゃんが来たからそろそろ会議始めましょ〜」
犂夏がそう言うと憂と杏椰は、納得がいかないと言った様子ながら一言謝罪をして席につきそれと同時に幸と大塚も席に着いた。
「それでは今から八地方代表会議を閉会します」
犂夏の言葉により八地方代表会議の幕が上がった。
◇◇◇
「北海道は、穢被害が54件、怪我人40名、死亡者9名だ」
「東北は、穢被害が62件、怪我人72名、死亡者11名じゃの」
大塚の次に発言したのは東北代表明真申竜也。
白髪混じりの黒髪にシワの刻まれた世にいうイケおじに分類される顔立ちである。
「関東は、穢被害106件、怪我人156名、死亡者19名でーす」
「中部、穢被害89件、怪我人82名、死亡者20名」
「近畿は、穢被害66件、怪我人50名、死亡者12名です!」
「中部は〜穢被害49件、怪我人26名、死亡者8名だよ〜」
幸、憂、杏椰、久宇羅の順に発言した。
「し、四国は、穢被害30件、怪我人16名、死亡者、6名です…!」
少し戸惑いながらも発言したのは四国代表、姫宮妃茉莉。
茶髪をおさげにした状態で結んでおり庇護欲を引き立てる可愛らしい顔立ちをしている。
「九州沖縄は、穢被害45件、怪我人24名、死亡者10名よ〜」
こうして報告は、終わった後は意見交換だけである。
「一通り報告は、終わったのだけれど近頃どんどん穢の出現率が上がってきているのを皆さんどう思います?」
「確かに、地方差はあるけどだんだん穢の出現率も上がってきてるし心做しか強くもなってきてない〜?」
「あぁ、現に北海道も緊急要請を出さざるを得なくなるほどの穢がでたしな」
犂夏の問に久宇羅、大塚が賛同した。
「うーん、なんかの予兆とか?」
「予兆?」
「うん、そのうち何かすっごい穢が出るとか!」
「何か、動くかもということじゃな」
幸の意見に疑問を持った憂に明真申。
それぞれ意見を出し合い時間が過ぎていく。
「……これ以上考えてもキリがありませんね」
「そうだね〜まぁ、もしこれからなんか来るとしたらその時考えれば良いよ」
「久宇良羅さんの意見に賛成だな。今考えたところで原因が分からないからしっかりとした対策出来ねぇし」
「儂も杏椰坊やの意見に賛成じゃな」
「では、穢の出現率、強さが高くなっている件は、分かったらまた考えるとして、これをもって八地方代表会議は、終了とさせて頂きます」
犂夏の言葉に皆無意識に張り詰めていた空気を緩めた。
「それより嬢ちゃん、さっき話した学校に行くってホントなのか」
「あれ〜?信じてない?さっきいったじゃん行くって」
「あら?幸ちゃん高校行くことにしたの?」
幸が高校へ行くその話題に他のメンバーも興味津々の様子で会話を見ていた。
「うん!そうなの犂夏さん!」
「以外ね〜去年は時間が合っても行かなかったのに」
幸は笑いをこらい切れないと言った様子でこう言った。
「だって──・・・
今年は、面白いものが始まる年だからね!」
こうして物語の幕が上がろうとしている──
【プロローグ終】