episode■ 不幸な少女の記憶Ⅱ
「■■■─!?」
木の物陰に隠れるように座っていると自分の名を呼ぶ少女の声が聞こえてきた。
「・・・・」
「ねぇ、私と友達になりましょ!私の名前は■■■■■──。」
鬱陶しいそう思いながら無視していると少女は、どこかへ行った。
少しすると走る足音が近づいてくるのに気づいた。
「ねぇ、お腹すいてない?これ、シスターが焼いたマフィンなんだけど食べる?」
「・・・・・」
「……えい」
「むぐ!?」
返事をしない■に痺れを切らしたのか少女は手に持っていたマフィンを■の口に押し付けた。
「んー美味しぃ!やっぱシスターの作るマフィンは最高だわ!」
「・・・・・」
少女は、■の隣に座ると自分の分のマフィンを食べ始めた。
少しすると少女達を呼ぶ声が聞こえてくる
「─────!」
「あ、シスターが呼んでる。もう昼休みは終わりみたい。一緒に行きましょ!」
「…どうして」
「え?」
「どうして、私に関わる…」
「……しゃ、喋った!?え、喋ってくれた!?嘘!え、声かわよ、尊!」
「??」
「うわ、混乱顔もかわよ!てゆうか幼少期姿も天使すぎてやばい平常心保ってきたけど推しが自分を見てる……」
急な未知の遭遇に戸惑った■は、その存在を無視することにした。
「わ!ちょっと待って!えっとどうして関わるのかだよね!」
「うん」
頷くと少女は、したり顔やドヤ顔など分からない表情を浮かべた。
「そんなの……!幸《推し》だからに決まってるじゃない!」
桜舞う春の日の事だった。
少女に出会って、不幸から幸になったのだ。