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犯人は私です  作者: 左之
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「では事件当時の状況を話してもらえますか」


取調室に着いた中山は容疑者に尋問を始める。目の前の女はどちらかというと内気なイメージを抱く。間違っても人を殺すようなタイプには見えない。

何を言おうか迷い込んだ女は大きく深呼吸をして弱弱しく呟いた。


「すみません、状況とかはあんまり覚えてなくて…」

「えっと、貴方が殺したのですよね?」


「あはは、えっとそうです。たぶん…?」


「では、わかる所からでいいので話してみてください」


「えっと、私昨日は飲み会がありまして…私ちょっとだけ酔ってしまいまして。あのー朝起きたら身に覚えない…血のついたバットがありまして…とりあえず居酒屋から家の道を歩いてみたら殺人事件があったらしいみたいな?あはは」


辿々しく話しだした彼女は苦笑いしながら最後まで話す。そんな彼女からは想像できない内容にこちらも苦笑いしかできない。なんとも微妙な空気が漂う。酒恐るべし。


ーーーーー


「では事件当時の状況を教えて下さい」


もう1人の容疑者は先ほどとは違う方向に尖っている。黒い髪をツインテールにし全身真っ黒の衣服、真っ白な肌に特徴的なメイク。いわゆる地雷系女子というやつだろうか。


「一目惚れだったの。友達に誘われて見に行ったんだけど。そんな面白い劇じゃなかったんだけどね。でもモブの役のゆうちゃんがちょーかっこよくて」


「あの、すみません。事件の話を・・・」


「聞いてよ。今私とゆうちゃんとの馴れ初めを話してるんだからさー」


「それでどうして殺そうと考えたんですか?」


長くなりそうな過去話を無視して事件の経緯を聞こうとすると露骨に嫌な顔をみせる。


「ゆうちゃんってなんだかんだ芝居がうまいの。だからね、今は彼女にしてくれてるけどそのうち捨てられちゃうかもしれないじゃん。だから捨てられる前先に私の物にしようとしたの。毎日少しずつなんとかっていうヘビの毒をご飯に入れて少しずつ身体を悪くしてきたってわけ」


坂本は絶句している。今日だけでこんなに個性の強い人を目の当たりにしており思考が追いついていない。


「というとあなた()()をしたと?」


顔を縦に振る彼女を見て中山は疑問を覚えた。現場には確かに包丁があった。しかし、2人の容疑者の凶器は毒とバット。自白したはずの事件には謎が漂い続ける。




「おう、ジョージ調子はどうだ」


一通りの尋問を終え、部屋を出ると同僚の山本が待っていた。洋画のようなテンションは激務後の頭の中で響き、頭痛を起こす。


「誰がジョージだ。要件を言え」


「良いニュースと悪いニュースがある。どちらから聞きたい」


「・・・。良いニュース」


「嬉しい事に今回の事件の手がかりが増えたぜ」


「それで悪いニュースって言うのは」


「自白した容疑者が増えたぜ」


「おいおい冗談だろ?」


洋画のようなオーバーリアクションする他にない。


容疑者は合計で5組になった。


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