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空き教室の怪 調査レポート 004

作者: 白音 藍奈

私たちの学校に今は使われていない教室がある。昔は生徒数も多かったので教室は全て埋まっていた。しかし徐々に空き教室が出来るようになった。それは生徒数の減少という社会問題を現わしていた。

 ある女子生徒が今使われていない教室の前を通りかかると中から声が聞こえた。女子生徒は「今使われていない教室なのになんで?」と思い、扉の中をチラッと覗くと中にはたくさんの生徒たちがいた。自分たちと同じ制服で教壇には先生が立っていた。


 女子生徒はその教師の顔を知らなかった。生徒たちも知らない人たちだった。女子生徒は2年生だった。ここは3階で、基本3年生たちが使う教室だったので知らないのは当然の事だった。女子生徒が覗いていると「コラッ!誰だ!!」という声がした。女子生徒が見つかったのである。ドアが開き、中から先生が出て来た。


 「何をやっているんだ?君は?」という教師の問いかけに、女子生徒は声が出なかった。「あっ、授業の邪魔をしてすいません」と謝罪した。それを見た生徒たちは笑いだしたので教室の中は和やかな雰囲気が漂い緊張感が消えた。女子生徒は逃げようとしたが、なんと教師が「君も授業に参加しなさい」と誘ったのである。女子生徒は「えっ、そんなっ事って。学年が違うのに」と心の中で思った。


 女子生徒は「あのっ、ここって何組なんですか?」と質問した。生徒の中の一人が「3年11組に決まってんじゃん」と言ったので、異常を察して女子生徒が逃げようとした。なぜなら、3年生は6クラスしかなかったのである。3年11組なんて存在しないクラスなのだ。女子生徒は自分が異常な世界に入り込んだ事を悟り、「先生、みなさん、お邪魔してすいませんでした。私はこれで失礼します。」と伝えた。教師も生徒たちも無理やり彼女を誘い込むことはせず女子生徒はそのまま解放された。


 後日、女子生徒がその教室へ行ってみると、扉の鍵は開いていた。教室の中は埃が溜まっていたり、机や椅子は隅の方へまとめて置かれ中央には何も置いてなかった。どう見ても長年使われていない教室だった。女子生徒が教壇の中を覗き込むとそこには写真が一枚あった。その写真にはあの日授業をしていた生徒たちと教師たちが写っていた。あの時と同じ制服で教師も同じ服装だったと言われている。


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