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花束

レド「うぅ…僕は嫌われてしまった…」


お茶会でレドが嘆く。


ジャック「そんなことございませんぞレド様。うちの娘はいつも話されておりますぞ。レド様の幸せとは何か…自分にその資格があるのか…と。」


レド「僕はサヤさんのことを愛しています。でも…サヤさんは…言ったんです。私にはその資格が無いから…と。」


王妃「あらあら…それはあなたの幸せを世界で一番願っている言葉なのよ…ジャック、そうよね?」


ジャック「はい!よほどレド様に惚れていないと出ない言葉かと…あの娘も本心はきっとレド様と共に過ごしたいはずです。父としてそれを叶えたい…ですが…」


王妃「ずっとあの調子ってことですね?」


ジャックは渋い顔をする…


レド「僕がサヤさんを安心させなければなりません!お母様、手解きをお願い致します。」


王妃「そうねぇ…プレゼントとかはどうかしら?花とか…」


レド「明日持ってきてみます!あ…明日も来ていいですか…?侯爵殿…」


ジャック「もちろんですとも!どうにか娘をその気にさせてやってください。」


明日プレゼントを持ってくることにし、今日は帰ることになった。


サヤの部屋の扉をノックする。


レド「サヤさん、今日はありがとうございました。また今度来ますので待っててくださいね。」


あえて明日来ることを言わずにサヤへ帰りの挨拶をした。


サヤ「レド様、本当にごめんなさい…嫌な時間に…なってしまって…」


細い声でそう言い残し、それ以降言葉はなかった。


レド「これだけは言わせてください。僕は本当にあなたを愛しています。」


サヤ「っっ!!」


その言葉は余計にサヤの心を揺らがせる。


自分だって幸せになる権利があるのではないか。想い人と添い遂げたい。そんな気持ちが湧き上がる。


サヤ「駄目です…私は悪役令嬢になると決めたんですもの…レド様を応援しなくては…」


サヤがここまで自己肯定感が低いのには理由があり…それは彼女の過去にある。



彼女がまだ五歳もいかない年の頃…


侯爵家に養子として迎えられたサヤは、周りの貴族に差別され、孤立していた。


「血の繋がってないお前は侯爵家の者じゃない」


「本当のお子さまはお亡くなりに?かわいそうに…あんな'代わり'を用意して…」


ずっとそういうことを言われ続けてサヤは育った。


そんなサヤの救いだったのが養子として迎えてくれた父、ジャックである。


本当の家族ではなくても父の愛情は本物であった。


貴族としてのマナーを学び、それを十二歳で完璧に覚えたことでサヤは貴族の間で知られるようになった。


すると周りの態度は豹変し、サヤに媚びを売るようになった。


人間の醜い部分を見て育ったサヤは、人間不信に陥っていた。


そんな中出会ったのが、政略結婚の婚約者としてつれてこられたレドだった。


サヤはレドを見たときから嘘をつかない誠実で優しい人だとわかっていた。


長年の審美眼というやつだろう。


そしてレドを好きになった時にも、自分は相応しくないと…幸せになる権利はないと考えてしまったのだ。



サヤ「レド様…なんで私に優しくしてくれるのでしょう…?あんなに優しい人はいません…」


一人枕を濡らしながらその日は眠りについた…



翌朝…


コンコンッ


玄関をノックする音が聞こえる。


ジャック「サヤ、出てもらってもいいか?」


部屋着に着替えていたサヤはドアを開ける。


サヤ「はい、ご用はなにでしょうか…?」


レド「あなたです…サヤさん。」


花束を持ったレドがそこに立っていた。


王妃はおらず、お付きの人が何人かいるだけだった。


サヤ「なっ…レド…様?どうしてここに…私のことなんかほっといていいんですよ…?あなたを幸せにできる人はたくさん…」


レド「いいえ、あなたしかおりません。僕の幸せはあなたなんです。どうか婚約を認めていただけませんか?」


花束を差し出すレドにサヤは涙をこぼす。


サヤ「私では無理です…本物の侯爵家ではない…」


レド「サヤさんはサヤさんです。僕はそんなあなたに惚れたのです。」


サヤ「……ずるいです。そんなこと言われたら嬉しいにきまってます…」


レド「サヤさん、涙を拭いてください。」


サヤ「ありがとう…ございます…わかりました。婚約は認めます。でも…いつか本当に愛する人を見つけたら…婚約破棄してくださいませ。」


条件をつけてサヤは婚約を呑んだ。


レド「本当ですか…?冗談じゃないですよ…ね?」


サヤ「はい。でも条件付きですからね…それまでは私たちは婚約者です。」


レドがサヤを抱きしめる。


レド「ほ…本当だ!嬉しいです!一目見たときからサヤさんをお慕いしていたんです。あ、ごめんなさい…いきなり抱きしめてしまって…」


サヤ「いいえ。心地よいものですね…ありがとうございます…」


涙を拭いてサヤは微笑んだ。

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