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何でも短編集  作者: ぬえさん
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透明な優しさを示す四、五文字の言葉

 透明な優しさを示す四、五文字の言葉とは


 夏。学校。部活。

涼しいというのか寒いというのか、どうとも言えないエアコンの効きが良い図書室で、春樹は読書を、健人は原稿用紙にシャーペンを突き立てていた。

 金属バットに心地良くボールが当たった音。遅れて野太い歓声が聞こえてくる。

 読んでいた本から顔を上げ、春樹は健人に語りかけた。

「ホームラン?」

「さあ?」

春樹が想像していたよりもあっけない返事を健人は返す。少し寂しさを覚えたが、春樹は健人がそういうやつなのを知っていた。

「ふーん……」

春樹もまたなんとも言えない返事をしながら、本のページ数を一瞥し、そっと机に読んでいた本を置く。そして、立ち上がり、近くにある普通より少し大きい窓を開けた。

 冷やされていた空間に、生暖かい空気が入り込む。健人は人肌に触れたかのような安心感と、うっと来るような暑さを同時に感じた。何をしてるんだ、と春樹を見る。

「こっからじゃ見えねぇや」

「当たり前だろ」

春樹が開けた窓の先には一本の巨木が生えていた。夏という季節に順応し、青々しい葉を存分に茂らせている。

 見えないと自分で言ったのにも関わらず、春樹はそのまま窓枠に寄りかかった。一体全体何を見ているのやら。そうは思いながらも、健人はそれを止めなかった。

 (ぬる)い風が健人たちの近くをじんわりと包んでいく。その感覚は棒アイスがゆっくりと溶けていくような、コップに結露が付くような、そんな感じだった。

 健人の原稿用紙は相変わらない。健人はシャーペンを意味もなくカチカチした。

 先ほど聞こえてきた歓声はどこに行ったのか、春樹の開けた窓からは野球部たちの練習の掛け声が流れ込んでくるだけである。その声を聞いて、春樹は一つ、こぼした。

「いいなぁ、楽しそうで」

「じゃあ、運動部に入ればよかったじゃねぇか」

「いや……それは」

春樹は黙った。健人は返事を待つ。微妙な空気が二人の間を通過していった。春樹が窓の取っ手に手を掛ける。

「なんか言えよ」

「言わせんなよ……」

 バタン、と春樹が窓を閉めたことによって、外と内が遮断された。これでまた涼しくなる。健人は少し上がった気温を感じながら思った。春樹は自分の座っていた椅子を少しガサツに引いて、ポスリと座る。そして、本を開いた。健人のあの言葉が機嫌を損ねたらしい。

「陽キャは見た目だけだな……」

「うるせぇな!」

しかし、健人はそんなこと気にせず、追撃を加える。春樹は反射的に声を出した。春樹は陰キャでコミュ障なのだ。

 春樹は本で顔を隠しながら、ブツブツと言い訳を呟く。それはもごもごとしていて聞き取ることはできず、本でも食べていますか? と健人は思った。

 健人は間に本を通して春樹を見る。そして、シャーペンを握り直し、また原稿用紙に向かう。

 春樹もそれを見て、また本を読みに戻った。

 エアコンの風が二人のもとまで届く。こんなやり取りをしている間に図書室はもとの気温に戻っていた。


 しばらく。


 図書室では、春樹が本をめくる音と健人が動いて服の布がこすれる音か聞こえるだけだった。

 ある程度経って、春樹が本を顔の下にさげる。本の背表紙がゴッと机に当たる感覚がした。春樹は健人を見る。健人は原稿用紙を見つめていた。

「健人」

 春樹が健人に呼びかける。

「なに?」

 健人は視線を春樹にやった。

 春樹はそれを見て、息を吸う。本をバンと閉めた。健人は図書館の本をぞんざいに扱うな、とバンと閉められた本を見て眉を寄せる。

「優しさってなんだと思う?」

 春樹はそれを見てか見ずか、多分見てない、春樹は健人に得意げに問いかけた。

「藪から棒になんだよ」

「いいからさ。なあ、なんだと思う?」

 せめて何をどう思って聞いてきたのかぐらいは説明してほしい。それがないと考える気も起きない。健人はそう心の中で言い捨てた。

「知らん」

「ちょっとでいいから考えてくれよぉ!」

春樹は抗議するかのように、パタシと机を叩く。そして、机に突っ伏した。チラリとこちらの様子を上目遣いで見てくる。健人は軽くため息をついた。椅子の背に全体重を任せて、額に手をつく。

「優しさは……あったかい?」

 悩んだ末に一つ答えを健人は絞り出した。

「……うん、そうだな」

 春樹はその答えに慈愛の笑みを浮かべる。健人はその反応に顔を強くしかめた。もしかしたら春樹の頬をつねっているかもしれない。つねってしまえ。

「お前はどう思うんだよ」

「よくぞ聞いてくれた」

春樹はにんまりと笑い、ガタガタと音を立てて席を立つ。春樹は本棚へと向かっていた。

「優しさって言うのは、透明なんだよ」

 健人の方へ振り返り、春樹は言う。健人はそんな春樹を横目で見ていた。春樹は言っただけなのに、春樹のその言葉は、口からこぼれて空中を伝って健人の手まで落ちてきたように、そう健人は感じる。

「ふーん、透明なんだな」

「もっと興味持って!」

 本棚までたどり着いた春樹は本棚の側面に触れながら、健人の淡白な反応にそう言い返した。本棚と本棚の間に行きそうで行かない、おそらく健人が春樹の茶番に付き合おうとしない限り、その奥には行かないのだろう。それが分かっている健人はふっと笑い、春樹の方へ体を向ける。

「透明だと何なんだよ」

そして、その誘いに乗ってやるよと暗に示した。

 それを見て、聞いて、春樹は笑顔見せ、本棚の奥へ消えていく。

「透明人間っているだろ?」

健人は今、健人と春樹がいる図書館の空気がラムネのようなものから、それにレモンのような酸っぱさが加わったような雰囲気になったのを感じた。

「ああ、いるな」

「ほら、透明人間になって、女子風呂に入りたいとか……」

「もっといい例えないのかよ」

 春樹は入った本棚からではなく、それよりも手前の方、健人の後ろの本棚から顔をひょこりと出す。健人も声をたどってそれを見ていた。

「いいだろ、俺らしかいないんだから」

 健人は本当に俺らだけだよな? とキョロキョロと周りを確認する。もしここに女子なんかいたら二度とこの学校の地を踏めなくなるからだ。見たところ、誰もいなさそうだった。

「まあ……いいけどさ」

「そうそう。あんま気にすんな、重要なのはこっからだから」

 春樹はまた本の棚の中に消えていく。はあ。春樹の気にしないことにできない言葉に健人はそんな顔をした。

「透明って見えないだろ?」

「ああ」

 春樹は話の最中、本棚の間をうろちょろしている。健人から見ると、それは消えたり出てきたりしていた。

「健人ちょっと目閉じて」

どこからか聞こえる春樹の声に、ため息をついて、言われた通り、健人は目を閉じる。春樹は健人が目を閉じている間に、健人の後ろに回った。それを健人は感じていた。

「――見えないものに気がつくことってできるか?」

 そこにいると知っていたからか、声がしたからか、反射的に振り返ってしまいそうだった健人だったが、何とか我慢する。

「いや、出来ないな」

「そうなんだよ! 出来ないんだよ!」

春樹はドヤァ……という顔をした。健人もドヤァ……という顔をしてそうだなと思っていた。健人の肩をポンポンと叩いて、目を開けてもいいよという合図を春樹は送る。


 健人は春樹の方へ振り返る。

「それで、結局何が言いたいんだ?」

「え?」

「え?」

 健人が聞いたことは春樹の想定外だったらしい。沈黙。春樹はあごに手を当てて、考えていた。健人は待っている。春樹は苦し紛れに口を開いた。

「いざ改めて聞かれると何言いたかったかわからなくなっちゃった」

「……」

 健人は春樹を小突く。春樹はひゃんという声を出した。頼りない。

「透明なものは見えない。見えないものに気がつくことは出来ない」

 健人は立ち上がり、窓の前に行く。

「なら、これは透明じゃないのか?」

 健人はガラスをコンコンと叩いた。春樹はにこっと笑って、それに答える。

「いや、それも透明だよ」

「でも、この透明は見えるし、あるということに気づける」

春樹は健人の隣に行き、ガラスに触れた。

「そう、それが透明のおもしろいところ」

そして、春樹は健人に顔を向ける。

「健人、なぜ君はそれに気づけた?」

「なぜ?」

 健人は口をつぐんだ。

「難しいな……。そこにガラスがあると知っていたから、としか言えない」

「まあ、そうだよな」

 俺もそう思う、と共感をしながら、春樹は健人の座っていた席に座った。

「そこにあると知っていた、または透明なものがあるかもしれないと意識していた、からだと俺は思う」

 春樹は健人が執筆のために出していた一枚の原稿用紙をなでる。

「優しさも一緒さ」

 健人は春樹の前の椅子に座った。

「そこにあると意識しないとそこにあるということに気がつけない」

健人は春樹の目を見つめる。春樹も健人の目を見つめた。


「クリスマスを例にしよう」

 春樹はビニール包装に入ったままになっている原稿用紙の方を指差す。健人は欲しいんだろうな、と察して原稿用紙をその中から一枚出して、春樹に手渡した。

「クリスマスに子どもたちが待ち望んでいるのは?」

 春樹は原稿用紙をいじりながら健人に言う。どうやら長方形の原稿用紙を正方形にしたいらしい。しかし、折るのかやぶるのか悩んでいるようでもちゃもちゃしている。健人はそんな春樹から原稿用紙を取って、正方形になるように破いた。そして、春樹に手渡す。

「プレゼント」

質問の答えと正方形になった原稿用紙。

「そう」

春樹はそれを受け取った。

「子どもたちはそれを楽しみにしている。じゃあ、それを用意するのは?」

 春樹は健人からもらった原稿用紙で何かを作り始めた。健人は春樹の手元を少し見た後、すぐに春樹自身に視線を戻す。

「……」

健人は春樹を見つめた。春樹はその視線の意味に気が付いて、クスッと笑う。慈愛の笑みのことを根に持っているらしい。

「今度は現実的な答えが欲しいかな」

健人はその言葉にほっとして答えた。

「その子の親だろうな、現実的に言えば」

「正解」

「まあ、子どもに向けて言うならサンタさんだけど」

「はははっ」

サンタ()()

 春樹はそう心の中で反芻する。そんな中で、春樹の折っていたものはできあがっていた。春樹は完成したサンタ帽を自分の顔の前に出す。そして、健人がその帽子をかぶっているように見える位置までそれを調節した。

「サンタ()()の正体はその子のお父さん、お母さん。そのことをその子は知らない」

春樹はサンタ帽を下ろして、続けようとする。しかし、春樹の口からそれが出る前に、健人がその続きを言った。

「優しさは透明だから」

「……気づかない、そこにプレゼントという喜び以外に優しさというものがあるのを」

「それが誰の優しさなのかも、気づかない」

健人の険しい表情とは反対に、春樹は柔らかい表情をしていた。春樹は、立ち上がる。

「でもさ、それでいいんだよ。気づかれない、それが優しさというものだから」

健人の横を通り過ぎて、春樹は窓の前に行った。

「本来、気づくということ自体が奇跡なんだよ」

「でも、寂しいだろ」

春樹は驚いた。それを健人が言ってくれるとは思っていなかったから。春樹は健人を見る。変わらず険しい顔をしていた。春樹は笑う。

「でも、気づいてもらえる奇跡はその寂しさを圧倒的にくつがえしてくれる」

「……」

健人は春樹を見る。見たのは不安だったからだった。

「自分が優しくしたつもりがないのに、相手に優しくされたと思われていた時、嬉しいだろ?」

「……そうだな」

春樹は窓を開けた。空の上から飛行機か何かが通過する音が聞こえる。健人と春樹は窓枠に寄りかかって空を見た。熱気のこもった風が健人たちの頬を撫でる。

 健人は春樹を見た。春樹も健人を見る。健人は分かっていることが一つあった。


「お前、言いたいことこれだけじゃないだろ」

 春樹はさすが、と健人に目で伝えた。にやっと笑い、体を前後に揺らす。そして、その反動を使って、机と机に挟まれたこの狭い空間から飛び出した。

「気づかれない、気づいてもらえたとき嬉しい。そんな優しさは透明なだけじゃなくて、有限だ」

春樹は駆けていく。本棚の奥へと。

 健人は春樹を追いかけた。

「有限だと何なんだ」

「なくなる」

春樹が入っていった本棚の通路を健人は覗く。春樹はその奥にいて、隣の通路へ移動しようとしていた。

「人にあげすぎるとなくなるんだよ」

春樹はまた健人の視界から消えていく。

「それなのに、世の中さ、お年寄りには優しく、妊婦さんに優しく、病気の人に優しく、けがをしている人に優しく……」

こんな追いかけっこ、図書館でするもんじゃない。声を頼りに春樹を探しながら健人は思った。見つけたと思ったら、またすぐにどっかに雲隠れして。結構バタバタ走るし、息も切れる。それは春樹も同じようで言葉の合間合間から荒い息遣いが聞こえた。

「優しくするべきだと言われている人間が多すぎると思わないか⁉」

遠くて大きい春樹の声、いるのは分かっていても見つからない。

「それにプラスして家族、友人、恋人、上司、同僚と自分が優しくしたいと思う人もたくさんいるわけだ」

「そりゃ大変だな」

どこか他人事みたいな言い方に春樹はクスッと笑った。きっと、健人にとって、それは本当に他人事なんだろうけど。春樹は続けた。

「この世には、優しさを必要とする人が多すぎる」

本棚の間をぐるぐると行き来して、春樹を追いかける。春樹の言葉は続いていた。本棚を抜け出して、右に机、左に本棚が見える道に出る。そこに春樹はいた。

「世界が優しさに包まれていればいいなんて言うけれど、実際、世界は優しさに包まれてなんかいやしない。それどころか、優しさの枯渇でみんな、のどをかきむしってそれを欲している」

春樹は言葉を紡ぎながら、健人に目配せをする。春樹は走った。健人もそれを追って、走る。春樹は先ほど開けた窓まで行った。

「有限なのに、なくなってしまったらどうしよう。なくなってしまったら、それはどうやって足されるんだろう」

春樹は肩を上げ下げしながら窓枠に腰を任せる。止まった春樹を見て、健人は少しスピードを落としながら、春樹のもとへ向かった。

「足されることなんてない。また自らの内に湧くのを待つしかない」

 春樹は健人が来たのを見て、背中から大きく窓の外に体を乗り出す。健人は焦って、春樹の胸倉をつかんだ。

「優しさって、知らなかったけど、こんなにもかけがえのないものなんだ」

健人はゆっくりと春樹の体をこちらに引き戻す。

「じゃあ、そんなかけがえのない優しさを俺たちはどうしていけばいい?」

二人は一度、上がった息を整えた。落ち着いたところで、健人は答える。

「……大切にする、のが一番なんだろうけど、無理だよな。どうやったって、生きていく中で優しさは与え続けないといけない。それも、相手に気づいてもらえるかどうかも分からない、いわば虚空に」

健人は春樹の胸倉をつかんでいる手の力を緩めた。そして、続けてこうこぼす。

「俺なら、嫌だな。せめて投げかけた相手に受け取ってもらえたかどうかぐらいは知りたい」

「その逆で投げかけられたなら、受け取りましたよってことを伝えたい」

健人は春樹の襟首を直しながら、春樹は直されながら、それぞれのこうしたいを伝えた。

 春樹は目をつぶる。その表情は満たされげで。そうだな、魔が差したんだ。健人は心の中で言い訳をした。

 春樹と健人は二人して口を開く。


「「透明な優しさを示す四、五文字の言葉とは?」」



キーンコーンカーンコーン


 春樹は目をパチクリとまばたかせた。

 いつの間にか夕日が差し込み、どんどんと図書館はオレンジに染まっていく。

「帰るか」

健人は荷物をカバンに入れ始めた。春樹はそれを見ながらつっ立っている。原稿用紙や筆記用具を片づけ、健人はもう一度机を確認した。一冊、本が残っている。春樹が読んでいた本だ。

 健人は春樹に本を手渡す。

「鍵返してくるから先に下駄箱行ってろ」

「ん……」

 春樹の反応は良くなかった。しかし、健人に言われた通り、すごすごと図書室を出ていく。

 健人はしょうがないやつだと思った。


 職員室に図書室の鍵を返し、春樹の待つ下駄箱に向かう。下駄箱までの廊下は夕焼け色に染まっていた。健人自身もその色に染まりながら、進んでいく。健人はサーモグラフィを見ているみたいだと思った。下駄箱が見えてくる。

 春樹は下駄箱で、読んでいた本を両手に持ちながら、健人のことを待っていた。春樹の足元に健人の靴が置かれている。春樹が出してくれたみたいだ。

 健人は春樹と目を合わせる。


「「ありがとう」」


 まったく同タイミングだった。健人は笑みをこぼす。

「読んだことあるなら、そう言えよ……」

 春樹は健人に持っている本を見せながら文句を言った。『透明な優しさ』、この本のタイトルだ。

「ふっ、悪かったよ。あんまりにも楽しそうに話すから、つい」

 春樹の出してくれた靴を履きながら、健人は言う。ついさっき春樹が話していたことは『透明な優しさ』に書かれている内容そのまんまだった。

それをさも自分の言葉のように話す春樹の茶番。健人は全部分かった上でそれに乗っていたのだ。

 恥ずかしかったのか、健人にまんまとやられたと思ったのか、春樹はむくれていた。健人は失笑しながら、春樹の背中を叩く。

「ほら、帰りになんかおごってやるから」

春樹のご機嫌を直すため、健人は仕方なしに提案した。

「まじ?」

春樹の顔がパッと明るくなる。悪く言えば単純、良く言えば素直なやつだった。

「何買ってもらおうかなぁ」

「どうせアイスだろ?」

「いやー? 違うかもよ」

春樹と健人は見つめ合う。しばらくの間の後、二人は笑った。


「……健人、ありがとな」

「……どういたしまして」

 二人の間に何とも言えない空気が流れる。春樹は頭の上で腕を組んで、健人はどこか明後日の方向を向いた。

「なんだか小っ恥ずかしいな」

「まあ、便利だろ」


______

『透明な優しさ』(抜粋)


――では、その透明な優しさを受け取った、または受け取ってもらったと確認するためにはどうしたらよいのだろうか。その方法は至極簡単である。我々が日常的に使っているある便利な(四、)五文字を使えばよいのだ。


”ありがとう”


これほどまでに、透明な優しさを具現化してくれるものはない。



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