第二十一話 狂った博士
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この乙女ゲームは攻略対象者とくっついた後に物語が展開していくと言うやり込み系のゲームで、アルフォンソ王子の時には戦争パートが多くて、ヒロインはナース無双をしなくちゃならなくなる。
アルフォンソ殿下の側近のディオゴくっついたら、新大陸となるコンドワナに渡って、あつまれ〇〇の森みたいな感じで、地元住民の好感度を上げながら宅地開発をしていく事になる。
側近のメガネキャラであるペドロとくっついた場合は、宰相補佐として働くペドロと一緒に王宮サスペンス。王宮内で連続する殺人事件の犯人を見つける事になるわけだ。
このサブミッションでも、バッドエンドになると敵国メロヴィングに有利な形で物語が進行していく事になる。
最初に王宮の侍女頭が殺される事になり、次はヒロインを馬鹿にした貴族令嬢、更にその次はヒロインを取り囲んで虐めた侍女グループが次々と殺されていく中、ペドロと一緒に協力して犯人を追い詰めていく事になるわけ。
犯人は人を殺した後に、懺悔の意味で、鶏とか豚なんかの生き血をアルティティヤ神に捧げるんだけど、アルティティヤ神っていうのはインディナで祀られる神の名前なんだよね。インテリキャラであるペドロは意味不明な呪いみたいな文字の中に、インディナ神聖文字が含まれているのを発見して、歴史学者であるブルーノ・モウリーリョが怪しいって思うわけ。
ブルーノ博士が専攻しているのはポペロニア古代宗教学であり、このポペロニアにはインディナ宗教群も含まれる事になる。
とかく香辛料で注目されがちなインディナなんだけど、宗教が多様化していて豊かな文化を育んでいるのが特徴なわけで、ブルーノ博士は宗教研究の第一人者とも言われる人なわけだ。
このブルーノ博士が女王領の統括を任された才女、テレサ女史に子供の頃から可愛がられているなんて事は知らなかったし、そのテレサ女史を頼ってカルダスの領主館に来ているなんて思いもしなかった。
本来ならブルーノ博士はベネディッタに惚れるはずだったんだけど、ベアトリスはヒロイン属性を持っているからね。第二であろうが、ヒロインには自然と惚れてしまうものなんだろう。ヒロイン属性すごいよな〜。
本来、ペドロと協力してブルーノ博士を追い詰めた際に、潜り込んでいたメロヴィングのスパイも一緒に捕まえる事になるのだが、ここで捕まったスパイがコーランクール!出た!皇帝の懐刀はこのサブストーリーで始めて表に出てくるわけですね〜。
コーランクールは神絵師さんの御技によってめちゃくちゃ格好良く描かれているので、プレーヤーをヒーヒー言わせていたし、あまりに人気があったが為に、コーランクールが主役のゲームが出るんじゃないか・・なんて、ファンを悶えさせる情報が錯綜していたのを覚えているよ。
「ご主人様よ、言われた場所には確かに女が一人、居たには居たが、水も与えられず放置されていたみたいでよ、今は、女たちが面倒をみているがよ」
王都リジェにある王宮とカルダスの領主館は設計者が同じ人物であり、領主館でも王宮と同じように特徴的な隠し通路が作られているだろうとヴィオは予想した。
案の定、教会に保管された設計図には隠し通路が幾つも記されていたのだが、三度目の改築工事で封鎖された通路の一部が、隠し部屋となっているのを発見したのだった。
ゲームでもバッドエンドでは王宮内の隠し部屋にヒロインは隠されていたという事もあって見当をつけたのだが、扉の開け方が分からないものだから、短慮なケイショが壁をぶっ壊したようだった。
ピオーリョ兄弟はベアトリスを保護してくれたけれど、彼女の状態を見て女達に丸投げしたのは良い判断だと思う。
「後で顔を見に行ってみるよ。陵辱を受けていた感じか?」
「まあな」
ピオーリョは良い奴だから、詳しい事を口にしない。
メガネキャラであるペドロと犯人を捕まえてスパイもゲットのグッドエンドの他には、ブルーノ博士に捕まってヒロインは監禁、陵辱エンドもある。その他には、ブルーノ博士がヒロインと一緒に胸を刺して無理心中エンドもあるんだけど、本当にブルーノって野郎は病んでいる。
ベアトリスはブルーノに捕まって監禁、陵辱エンドに進んだ事になるのだろうけれど、ゲーム内の展開によっては、王宮に監禁していたヒロインを連れて逃げ出したブルーノが、メロヴィングに逃亡する事になる。
今現在、ブルーノは居ない。ベアトリスを助け出したのだが、ボンパル侯がメロヴィングと結託して5千の兵を連れてやってくるし、ゲームと違って敵を迎え撃つのに余裕がない。
まあ、仕方がない。
やれる事をやっていくしか方法がないのだから。
「ピオーリョ、お前は知らないだろうから教えておくけど、食う寝る場所は館に集まった女たちで全て賄うから、男どもは全て、領主館への侵入を防ぐ防衛線に配備される事になる。この領主館は敷地は狭いが王家の安全を考えて、ぐるりと一周、城壁だけは立派に残っているのでな、二日籠城できれば我らの勝ちだ」
王都にはボンパル侯の離反については急使を出しているので、将軍がすぐに動いてくれるだろう。だから二日、二日を守り切れば援軍と合流する事が出来るはず。籠城して二日持ち堪えられるかどうかが鍵だ。
「ご主人様よ、これ、最新型のライフル銃じゃねえのかよ?」
ヴィオが渡したライフル銃と弾丸を両手に抱えたピオーリョが顔を真っ青にしている。
「これ、一体いくらしたんだよ?」
「大陸封鎖令で各国と通関ができなくなったブリタンニアは不景気で喘いでいるからね、大枚叩いて最新の武器を買えるだけ買っておいたのさ」
化粧品で儲けた金を突っ込んだ、おかげでヴィオの祖父(ウィンドウッド伯爵)がウハウハ状態になっている。
「さあて、敵を出迎える前に、色々と仕込みをしなくちゃだよな」
うんざりしたような顔をするピオーリョを見上げて、ヴィオはとりあえず笑っておくことにした。
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