不思議ちゃん取締役
この会社は良い会社だ。
環境が整っている。
設備が充実している。
独自の制度がしっかりしている。
上司がやさしさを持っている。
あまり縛られない働き方が出来る。
でも、ここには不気味な存在がいる。
現場監督みたいな立ち位置のギャルだ。
10代だろうと思う。
派手な格好をしている。
疑問をズバズバと言ってくる。
取締役という役職らしいが、
集中は確実に削いでくる。
ほっぺを膨らましたりもしてきた。
肩をツンツンしてきたりもした。
どこかしらの遠い星から来た、とも言っていた。
残業をしないと、いけなくなってしまった。
どうしても、終わらせないといけない仕事。
一人で残っていると、不思議ちゃんの取締役が来た。
「今日はお帰りください」
「いや、でも」
どうしても、やらなければならなかった。
僕は、しょうがなく抵抗した。
すると、不思議ちゃん取締役は、案を出してくれた。
そして、色々と手伝ってくれた。
パソコンの入力はプロ並みだった。
アイデアは、独創的だった。
「これはどうかな」
「はい」
アドバイスにより、あっという間に仕事が片付いた。
不思議ちゃん取締役は、作業を終えると、カタカナの長ったらしい星の名前を言い、そこに帰ると言い残し、帰っていった。