家族 その2(彼の視点)
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「デ・グル・モラ家?
そうかぁ…まぁ、頷けるか、今、思えばその剣の使い方、やっぱり『血』なのか?そう考えれば、長剣で『颯』の属性を自由に扱えるのも頷ける。
あぁ、
心配するな、ちゃんと脱退の手続きはしておく、問題ない
貴様…いや!もう、そんな簡単に呼べないな。貴殿様が当方で修行された実績や経歴等は貴族院に報告させていただく、ご心配されずに」
「師匠!何言ってるんですか!俺は…」
「今までのご無礼お許し頂けると幸いです。」
あれから直ぐに俺は師匠の元へ向かい先ほど俺に起こった事を伝えた。
奥様は、
「そうなのですか…」
俺の言った「言葉」を聞いた後、ずっと頭を下げて俺の顔を見てはくれなかった。
立場が「上」であれば、「下」の者は頭を下げ、『眼』を合わさないのが礼儀だ。
そんな中、姫様だけはいつもの様にいつもの笑顔で俺に近づいて来た。
「じゅにぃ~、あしょぼぅ」
その姫様を師匠が止めた。
「あぁ、駄目だよ。そんな軽々しく呼んでは。良いか、もう貴殿は、お前が言葉もかけていてはいけない御方なんだよ」
「師匠!」
「あぁ、その呼び方も御変えください。私は『デ・グル・モラ』家にお仕えする身。御理解願います。」
師匠は、最大級の礼儀『剣』を置き頭を下げた。
「自分は『薔薇の門』の門下生。俺の『血』なんて関係ない!
師匠、何も解らない俺を12年間育て導いて、今の自分を作り上げ生かせてくれたのは師匠や仲間達だ!
『デ・グル・モラ』家?
そんなもの俺はいらない!
俺はただの『ジュニー』で『ジェイク』だ!
今も、これからも変わらない。
俺はこのまま、この場所にいたい、いや!居る!いさせてください。」
「御言葉を返すようですが、貴殿は『正しい場所』へ、お戻りになられるのが幸いかと」
「師匠、おっしゃいましたよね。何もわからず悩み苦しんだ自分に、『貴様が何者かは関係ない!誰に言われて決めるのではなく、自分の進むべき路は自分で決めろ』と!
師匠は、何も解らない自分をあの時から育て導いてくださったではありませんか!
俺は誰よりも尊敬する師匠のことばで今日まで生きてきました。
そんな尊敬する『薔薇の騎士』が、その名の元に言ってくださった『言葉』は、嘘なのですか?」
…
長い沈黙の後、師匠はようやく言葉を発した。
「わかりました。
では、失礼を承知で…
貴殿
後、3年で18歳。「成人の儀」を終えられ、その後1年以内で軍事を挙げられたら、「独立」し、自身の家柄を立てる事が許される立場と権利を得るかと。
ならば、我弟子。
4年で貴殿が望む姿と生き方を見つけてみろ!
その結果、それでも自分を師匠と呼び、今までの暮らしに戻るという選択をするのであれば、その時は堂々と戻ってこい」
「あなた!」
「妻は、黙ってくれ」
「師匠、ありがとうございます。
これから4年、俺は師匠の御言葉を忘れず、考えながら生きてみます。
そして…それでも自分が変わらなければ、その時は、ここに戻り、そして師匠を『父』と呼びます!勿論呼ばせて下さいますよね?」
「貴様の気持ちはわかっだが、ちなみに『父』とはどういうことだ?」
「勿論姫様との婚姻です」
「へ?」
「お忘れですか?『2本』師匠から取れば、姫様の『守り』にしてくれると」
「おい?ちょっと待て!俺はそんな意味で…」
「『薔薇の門』の騎士に二言はありませんよね、師匠」
「あなた、負けたわね(笑)」
「…
まさか、こんな形で取られるとは…
わかった、貴様
4年だ!それ以上はない!
自分の進むべき路を決めて、それでも『ここ』が生きる路なら、戻ってこい!
貴様が戻らない時は、娘との婚姻はなかった事にする!それで良いな!
では、誓おう
『我名において、我に加護を』」
「誓います
『我名において、我に加護』」
すみません
師匠
奥様
あの日の、浅はかな自分を許してください。
今も思い出す。
馬鹿な自分
この世に不変なんて、ある訳ないのに
でもあの日、俺は信じて疑う事をしなかった
4年たっても「自分が変わらなければ、決して変わらない」事と、「あの優しい日々は変わらない」事を。
ごめんよ姫様
あの日に戻れるなら、あの『愚かな選択』はせずに君も、大切な人達を守れたのに
『彼』の後悔は続きます。
自分でも書いていて辛いです