家族 その1(彼の視点)
いつもお読みいただきありがとうございます
「じゅぅ?」
「違います!ジュニーです」
「じゅぅ、じゅぅ。
きゃはははっ」
まぁ、良いか…
姫はご機嫌だ。
ぷにっ
相変わらずぷっくぷくの赤い頬を指で突っつく。
ニコ~
うん!可愛い!
あれから毎日姫の姿を見ている。日々変化し表情も増えてきた。毎日姫の成長を見るのが俺の楽しみになった。
初めて歩いた日、初めて言葉らしい「声」を発した日、毎日が新鮮で毎日が幸せだった。
「良し!今のは『1本』だ。」
あれから2年、初めて師匠から『1本』を取った!嬉しかった。
「じゅにぃ~すゅご~い!」
「姫、ありがとうございます。」
「あぁ、ジュニー。そろそろ娘の名前呼んで良いぞ」
「え、師匠?姫の名前は『認めた人間以外駄目だ』って…」
「だから、認めるっての事だ。ジュニー、呼んでやってくれ」
「姫様」
「はい!」
ニコニコ
あぁ、俺はこの笑顔をずっしり守って行こう、そう心に決めた。
その夜
「失礼ですが、ジュニー
ジェイク様でいらっしゃいますか?」
俺の家に一人の老騎士が訪ねてきた。
「確かに俺はその2つの名前は持ってはいるが『様』を付けられる身分ではない。俺は直ぐに丘の上の教会の前にいたのを助けてもらい、それからずっと親の顔を知らずに育ち、自分が何者なのか全く解らない。誰かと勘違いでは?」
「失礼ですが、右肩から背中あたりに星形のアザはありませんか?」
「右肩にはないが」
「では、左肩には、あるのですね」
「…」
「やはり、そうですか。それとこの紋章に見覚えありませんか」
それは、黒い一角獣と長剣が描かれた紋章
独りで教会の前に立ってた俺の左手に握り締められていた者と同じ物だった。
俺は、この紋章とジュニー、ジェイクこの3つしか自分の出生を分かるものがなかった。何故教会にたどり着いたかもわからなかった。
俺には、その前までの記憶がなかった
「それは…」
「やはり、生きておられましたか。ジェイク様。お探し致しました。私は、必ずジェイク様は生きていらっしゃると信じておりました。」
「貴方は?」
「私をお忘れですか?
レイモンド・デ・クリーク で御座います
ジェイク様は、『デ・グル・モラ』を、名乗る事を許される御家柄の御子息でいらっしゃいます。
12年前、御家族がお乗りになられた馬車が行方不明となり、皆で捜索し、翌日崖から転落した馬車を発見した時は本当に焦りました。」
「それで…」
「お館様と奥様は大ケガはされましたが今もご健在でいらっしゃいます。その時、一緒に乗ったらっしゃった筈の貴方様が行方不明となり、ずっと探しておりました。」
「そうですか、手間をかけさせました。」
「いえ、さぁ、御家族がお待ちです。今すぐ、私と帰りましょう」
「待って下さい!今すぐ行けません。今俺は『薔薇の門』の門下生として席を置いている。上官に報告しなければならない。
それに12年の月日、俺もどうして良いか心の整理がつかない。
申し訳ないが、少し時間をくれないだろうか。そして、出来ればこの12年の時間何があったか教えて欲しい。」
「申し訳ございません。急過ぎました。
畏まりました、お館様にはそのように連絡致します。
ただ、12年ずっと待ち続けていらしゃった御家族の想いは御理解願います。」
「わかりました」
「では、3日後またお伺い致します。」
そう言って老騎士は去って行った。
彼について少し書きます
現代は少しお休みの予定です
みーくんもお休みです