とある村の村人一気に村は発展する
あれから一週間が経った、リアカーが村の中を走り
北から移住してきた坑夫が石炭と鉄鉱石をバンバン掘っていく。
坑夫の棟梁であるアナホリさんは今の環境を凄く褒めてくれていて、特に最後にカナヅチさんと相談して作った公衆浴場がとても気に入っているようだ。
「坑夫はさ、穴ん中入ってくべさ、やっぱり砂埃とかひでぇんだ、今までは帰ってから冷たい水に浸したタオルで体拭いてたべさ、だけどね、ここは熱い風呂に入れるべさ、皆それでやる気も出てるんだ」
と北の訛りがかなり強い話し方で説明してくれた
坑道の構造にも詳しいようで、カナヅチさんと良く相談しながら、坑道を掘り進んでいる。
リアカーの改造はカナヅチさんとハンマさんが共同で進め、なんと俺が思ったよりも少し近代的になった。
シャフト以外にも車輪の一部、荷車を引く部分にも鉄が使われていた。二人が作ったリアカーは最初に作ったものと取り替えられ、今や村になくてはならないものとなった。
リアカーが普及した事で農業にも大きな変化が起こった。重くて量を運べなかったことから、どうしても生産量を絞らざるを得なかったが、作物、土を耕す為の道具、肥料の運搬量が増加し、生産量を絞らなくても良くなった。畑の面積が大いに広がり今後の農作物への期待が持てるようになった。
俺は坑夫達が掘っている二つの山の更に隣の山に来ている。最初に石炭掘りでバイトしてたやつらを連れてきた。
「なあジョン?この山では何が取れるんだ?」
『ここでは銅鉱石が採れるんだ』
皆一様に訳がわからんという顔をしている。
そもそもこの世界では銅はあまり普及しておらず、見たことも聞いたこともないのだ。
「何に使うんだ?」
『まあ!あれだな、不思議な現象を起こす為に使うんだよ。』
「へぇ、まあとりあえず掘ればいいんだよな?」
『とりあえず今までみたいに掘り進んでくれ』
そうして、坑夫からしたら全く量が取れていないが
銅鉱石を採掘することが出来、リアカーでドーグさんの所へ持っていった。
「また、小遣い稼ぎかい?」
俺は銅鉱石を見せながら説明した。
『これを採掘してきたんだ』
ドーグさんに銅鉱石を手渡した、ドーグさんはそれをみながら迷ったような表情を見せた。
「これはなんだい?鉄鉱石ではないね?」
『銅鉱石さ』
「どうこうせき?鉄鉱石の仲間かい?」
銅という金属があり、それを精製するための石だということをドーグさんに説明した。
「アキナイさんに相談してみないと何とも言えないね、相場もわからないし。とりあえず今の所は鉄鉱石と同額を渡しておくよ。」
知らないんじゃしょうがない、アキナイさんに判断してもらおう。多分そろそろ来る頃だろうし。
その数日後アキナイさんがやってきた。
「ジョン君!調子はどうだい?」
『アキナイさん!こちらは順調にですよ!そちらの方はどうですか?』
「かなり儲けさせてもらっているよ」
その後アキナイさんからウチの物の事情を聞いたが
まあどれもこれもかなり順調のようだ。
ポンプの方はかなり周辺の村、街にも行き渡ったとの事だ、しかし大きな街では自分たちでポンプを作る動きが取られており、少し売り上げは落ち込みそうとの事。
鉄鉱石と石炭はかなり順調のようで、こちらは引く手数多らしい、それほど珍しいものなのかかなり需要が高いとの事だ、しかしながら輸送量が限られてくるので、利益率はデカイが売り上げはまだ小さい。
『そこで、なんですが。これを見てください』
リアカーをアキナイさんの前に出すと、アキナイさんはすぐに使い方を理解したようで、こちらとリアカーを二度見していた。
「ジョン君!これは!どこで手に入れたのですか!?」
『これもウチの村で作りました!』
アキナイさんは早速このリアカーの商談に入った。その為ドーグさんやカナヅチさん等が呼び出され、契約などの話が為され、その場でリアカーを馬に引かせる準備をしていた。今回はリアカーの代金は精錬された鉄との交換となった。
『鉄が安定供給されたら木材や皮製品の時代から脱却だ!』
さらにドーグさんは俺達が採ってきた銅鉱石をアキナイさんに紹介していた。アキナイさんはこれにも食い付き、銅を精製できる町や村を探してくれるとのこと。ついでに温泉がある地域についても聞いたが、こちらはわからなかったようで、情報仕入れますとの事だ。
こうしてアキナイさんは帰っていき、村は少し発展するであった。