とある村の村人は村を改善しまくる
鍬をハンマさんに作って貰い、ダイーチさんに渡したところ、これがバカウケして、一気に村の農家に広がった。
ハンマさんはこれによりかなりの収入を得た、そしてその一部を俺に渡してきてくれた。
さらにそれを元手に二つのプロジェクトを動かした。
まず一つ目は3つある山に注目した
これも異世界補正かそれぞれ採掘できる鉱石が異なるのだ
左の山が石炭、真ん中が鉄鉱石、そして右の山が銅鉱石。しかも俺が表層面を少し掘った所から採取出来たのでかなり埋蔵量はあると思われる。
しかし問題もある、村には坑夫がいないのだ
これだけ資源の宝庫を持っていながら全く活用できていなかったのだ
そして二つ目は井戸のポンプ化
滑車で引っ張り上げている労力をなくしてあげようということで、こちらはハンマさんに原理と構造を説明して試作品の製作が始まっている。
そんな事で今村長の家にきている
『という事で村長!山から資源を掘り出すために坑夫の育成をお願いします!』
村長は難しい顔をして
「ジョンよ、おまえの言いたいことはわかる、しかしな10歳のおまえが育成をするというのは些か無理がないか?」
それは俺が前世の知識を持ってるから全然平気なんだよね、とは言えないので
『じゃあ、坑夫を雇い入れて下さいよ』
またまた村長は渋い顔をして
「そんな、まだ結果も出ていないのに募集をかけて本当に集まるのものか?」
うじうじと悩みやがって、さっさとオッケーと決断して欲しいもんだ。
『じゃあ、明日くる商人に坑夫の募集依頼をかけますよ?集まらなくても俺が損するだけだしいいでしょ?』
村長はまたまた渋い顔で
「まあ、いいだろう、どうせ集まらんと思うがな」
これでとりあえず村長に募集をかける事は伝わった。
明日商人が来ることはわかってたからな、今日勝負して決心が鈍る前に明日商人に話してしまえばいい
ちなみに親父は鍬の改善や勉強熱心な俺の姿をみて
「なんか、おまえ変わったな。やってみたい事があるならとことんやってみろ。」
と言ってくれたので、ありがたく自由に動かさせてもらう。
村長の家を出たら次は井戸に行ってポンプの作動トライだ。
『ハンマさん!出来はどうですか?』
ハンマさんもこちらに気付いて手を挙げてくれる
「ジョン!今の俺に出来る精一杯の仕事をさせてもらったよ。」
井戸の横に置いてあるポンプを指差していつもは自信なさげなハンマさんが少し自信あり気に言ってくれる。
ちなみに持ってくる時は牛にロープをつけた板を付けて板の方にポンプを載せて持ってきたそうだ。
かなり時間がかかったみたいだけど、これがこの世界の普通だもんな。
ポンプの外観を確認し動作箇所のチェックを行う。
かなり出来が良いと思う、想像以上だ
村人5人がかりでポンプを井戸の上に載せ、呼水をして、いざ動作開始!
『このレバーを押して、よっ、よっと、よっと』
何回かレバーを押してやると水が出てきた。
これには周囲にいた村人も驚き、そして歓声!
順番に皆が水を出している。
『間に合った、これで明日商人と交渉する事が出来る』
そう、俺はこのポンプを商人に見せて受注生産で売るつもりだ。
どのくらい需要があるかはわからないけどまずはハンマさんだけで何とかなるだろう。
そして次の日
商人がやってきた、商人は馬を5頭引き連れ、馬の鞍に荷物を乗せて運搬していた。
もしやうちの村だけが、車輪、馬車の概念がないのかとも思ったが違うようだった。
「さあさあ、皆さん今日は南方の珍しい食料がたくさんありますよ!」
声を張り上げるのは商人のアキナイさんだ、この人もかなり名前があれだが、わかりやすくていい。
『アキナイさん!』
俺が声をかけるとアキナイさんは笑顔でこちらに寄ってくる
「ジョン君、今日はまた何か面白い話でも?」
俺はまずは坑夫募集の話をする、当然金がかかるが鍬で得た金でなんとか足りた。周辺の村で声をかけてくれるとのことだった、しかし坑夫はこの周辺では少ないので集まるかはわからないとのことだった。
そしてアキナイさんを井戸へ連れていく
「ジョン君、井戸の上のものは何ですか?」
アキナイさんの反応に思わずにやけてしまう
『これはポンプといいます、このレバーを押してやると』
キコキコキコキコキコ
ザバァー
『とこのように簡単に井戸から水を汲むことが出来ます。』
アキナイさんはポカンとしていた、そして漸く現実に戻ってきたのか、こちらに一気に間合いを詰めてきて
俺の両肩をつかんだ。
「何ですか!この画期的な道具は!これは革命だ!
帝都でも絶対に売れますよ!」
アキナイの言葉を聞いた俺は続けた
『アキナイさん、これは鍛冶屋のハンマさんが作ったものです、完全受注生産で対応しますがこの道具を売り込んできてもらえませんか?』
アキナイは超絶笑顔で
「勿論ですとも!是非私にやらせて下さい!」
そのあと金の話になったが、そこはハンマさんとアキナイさんが入って色々と決めた。ちなみにかなりこちらに有利な条件だったが、アキナイさんはそれでも了解してくれた。
アキナイさんは村での商売を終えて、ホクホク顔で村を去っていった。
さて
『ハンマさん?』
ハンマさんはこちらが切り出す内容を知っていたのか
「わかってるよ、ツルハシだろ?もう準備出来てるよ、店にあるから見にきてよ」
『流石ハンマさん!』
ハンマさんと二人で店に行きツルハシを確認して
家に帰った。
明日は皆で山に遊びに行くか