表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺人カラス  作者: あいまりぃ
7/35

6.運命のクラス発表

 声がする方へ向かうと、中庭の掲示板の前には二百人近い人の群れができていた。


「あーもうすごい人だかり。見に行こう」


 自転車を止め、張り切って掲示板に近寄る彼女は、当然何の不安もなさそうだ。


彼女は可愛くて明るい天真爛漫な性格だから、どのクラスに入っても人気者になるのだろう。


一方、置いてきぼりにされた陰気者の僕は。


……。


遠くから目を細め、視力に全神経を集中させながら恐る恐る掲示板を見た。


早くも一組に自分の名前を見つけると、そのまま“早川椿”の文字を探した。


同じクラスでも隣のクラスでもない。


彼女もきっと残念がっているはず……もなく、前の方で友達とワイワイしていた。


彼女がいないと僕にかかる雨雲は晴れないし、友達もできない。


こんな僕でも青春に憧れていたが、叶いそうもない。


それどころか絶望的な高校生活を覚悟し、無心で綺麗に晴れ渡る青空を背景に屋上を見た。


このとき、僕の体はきっと、校舎の階段を駆け上りたい気分だったのだろう。


そう、あの日から僕は何も変わっていない。


「ハァ」


この賑わいに似合わないため息をつき、目の行き場のない僕はもう一度彼女の方を見た。


見ず知らずの男子数人に声を掛けられているようだった。決して僕は嫉妬をしているわけではない。


ただ、僕の居場所を奪ってほしくなかっただけだ。


こんなとき


「探してたんだ、ホットドックを食べに行く約束してたよね」


とでも言って彼女を連れ去りたいのだが、ここは海外映画の世界ではないし、イケていない僕は、頼むから一組にいる男友達を紹介してくれ。


そう彼女に願った。


そのとき、トントンッ誰かが僕の肩を叩いた。誰だろう? 彼女は目線の先にいるし、僕に声を掛ける人物に検討もつかなかった。


小笠原大和おがさわらやまと君ですよね。同じクラスの佐藤です。友達になってください」


 早くも願いは通じたのか、男の声が僕に話しかけてきた。


聞き馴染みのない名前だったが、どこか懐かしい感じがした。


振り返ると、運動部に所属しているのか、春だというのに日に焼けた高身長のイケメンが片方の口角を上げ、ニヤついた顔で立っていた。


正体は一瞬で分かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ