表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/17

ホテルのエントランスにて

 ホテルのエントランスに入ると、そこは2階までが突き抜けになっている広い場所だった。


 ロビーの入口の傍には受付カウンターがあり、通路を進んでいくと、2本の太い柱。通路の脇にはラウンジもある。


 戦前までここは、高級ホテルと言った所だろか。


 しかし、ここも昔に放棄されているためか、建物全体の老朽化が激しく、エントランスの天井は所々剥がれており、むき出しになった鉄筋すら見える。


 上を見て歩くと、剥がれた天井板が落ちてこないか、軽く恐怖だ。


「おーい。ミソラ、どこだ?」


 エントランスの中心にまでやって来たアサヒは、両手を口に当ててそう叫ぶと、静かな空間のせいか、それとも建物全体の構造のせいか、声は妙に響き、反響して返って来た。


「あぁ、おにぃ、こっちだよー!」


 アサヒの声に反応したミソラは、2階のエントランスを囲む通路の手すりから、ひょっこりと上半身を乗り出して手を振るのが見えた。


「おい、そんな身を乗り出して、落ちたらどうするんだよ!」


「え、大丈夫だよ。おにぃは、心配症だなー。というか、待っててって言ったのに、結局来たの?」


「そりゃ、お前に何かあったらいけないからな……」


「えー、ちょっとの間なら、大丈夫だよー!」


「まぁ、とにかくミソラ、そこで待ってろ!俺もそっちに行くから……!」


「あ、猫さん。ねぇ、どこ行くの?ねぇねぇ!」


 ところがアサヒの言ったことに耳を貸す様子もないミソラは、また逃げる猫を追いかけて、また先へ、駆けて行ってしまう。


「って、聞いてないし……。まったく……」


 何か1つのことに、夢中になって後先考えずに走り出すのは、ミソラのいつものことだ。


 しかし、いつ危険が降りかかってもおかしくない外の世界では、少しは自重してもらいたいものだと、辟易するアサヒだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ