序章 目に見える終わりの世界
こちらにも、少しずつupしていくことにしました。
基本的にはノベルアップの方が投稿速度は速いかもしれませんにであしからずです。
こっちには、内容が溜まってきたら、一気にupしようと思うので、気長にお待ちください。
――その日は、黒くて厚い雲が、空には覆いつくすようにしてかかっていた。
それは、さっきまで白く輝いていた太陽の日差しを、嫌っているようにも思えた。
しかも、今ではごろごろと、曇天の雲は、音を鳴らしている有様である。
もう時期、雨が降るかもしれない。
それも、とびっきり強い豪雨だ。
この日、俺達が行き着いた街は、人の影も無ければ、野生動物の痕跡すらない、静かな場所だった。
季節はもう夏だと言うのに、最近の日中の最高気温は22度とあまり高くはなく、真夜中になれば、氷点下を下回ることも、そう珍しい事ではない。
アスファルトの剥げた道路に、乗っていたバイクの操縦を取られながら、俺はじっと肩を竦めた。
朽ちた建物。荒廃した街並みに、放射能だらけになった景色が、どこまでも続いている。
ここは極東の島国。
ここでは、大国の核の脅威が過ぎ去った今でも、絶望の時代から抜け出せずにいた。