エレベーターワールド
裸で立っていた。
自分が誰かもわからないまま
説明の爆弾を投下されていく。
爺はそれでも
爆弾を投下する。
俺の脳は
焼け野原。
あれっ?
ここは・・・。
どこで・・・しょう?
そして俺は・・・誰?
どこかの玄関口だけは、わかるが、それ以外のことは一切覚えていない。
これが噂の、記憶喪失ってやつか?
なんだここ?
マンション・・・だな~。
玄関外を、見ると、外は暗かった。
今何時?
ってか本当に俺・・・誰?
ん~これは困った。一体全体どうすれば、いいんだろう。
家だ!家に帰れば何かしら分かるかも!
家ってどこだ?
このマンションにある?
う~ん覚えてない。
・・・どうしよう?・・・。
選択肢は2つ。
外にでるか、このマンションで、手がかりを探すか?
結局俺はマンション内をうろつくことにした。
だって外、先が見えないぐらい暗いし・・・。
っとゆうことでマンション内を散策。
歩いてすぐに管理人室ぽい場所を発見。
中を伺うと、メガネを掛けたちょっと渋目のオッサンがいた。
声を掛けようか迷う。
だって俺、裸ん坊なんです。
だいぶ前から気づいていたけど、気がつかないふりをしてまして・・・。
なんかおかしいな~っと思ったよ。でも対したことないのです。
いろいろと・・・。
「お~いそこの君聞いてる?」
ごめんなさい。
全然聞いてないです。
考えごとしてました。
ってゆうかしゃべり掛けてくれたんですか?
「あの~ここはどこでしょう?」
「君、新人だろー、だいたいわかってるから」
新人?
なんのこと?
「自分、記憶喪失に「あーわかってるから、君が記憶喪失ってこと、それからどこにいるかも、わからないってことも」
この人なんか慣れてる?
その口振りだと、記憶喪失っていっぱいいる?
「まぁ、色々考えてしまうのもわからんでもないかな~でも今から説明することを、しっかりと聞いて欲しい」
なんの説明?
たぶん俺についての状況「は・・・はぁ~」
「なんか気のない返事だな~まっいっかっ」
「実はね~ここは地球じゃないんだよ」
ハァ~何言っちゃてんの?
このオヤジ頭いっちゃってんの?
それともドッキリか?
騙そうってか?
記憶喪失だから。
そうはとんやがおろさないぜ~!
「ブゥフ・・・ハッハッハッハッハッ」
「なんだよ!騙したのかよ!「あーすまんすまんいつも、新人のリアクションが面白くてな、悪意はないんだよ」
「も~勘弁してくださいよ~」
「じゃあ改めてもう一度、いいかい」
「今度こそ、お願いしますよ」
「ここは地球じゃない」
もういいって!
スベってるから!
ほんと、しつこいオッ!
まがお!
もしかしてマジのやつ!
「ウソで・・・しょ?」
顔がマジ!
「ゴメンな~ウソっていってやりたいけど本当のことなんだ」
もしかして異世界ってやつか?
はやんね~ぞ!その手の話!
記憶喪失して転生って?
よくあるから。
はは~ん・・・わかったぞ。
これ引っ張ってウソつくやつだな。
そろそろ笑い出す頃だろ~。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
!
えーーーーーーーーまじのやつー!
オヤジもウンウンウン頷いてるし!
「ウソでしょ!?」
「ほんとうのことなんだ!」
これもし嘘だったら殴る!
ハイど~ぞ。
「まぁ地球に関係なくもない・・・けど違う」
「じゃあここはどこなんだよー!」
「それは言えないんだ!」
ハァ~!ここまで引っ張って言えないだー!
じゃあ何のためにお前がいるんだ!
お前の存在意義わ!
話、振り出しじゃね~か?
「お怒りは、ごもっとも・・・でも言えないには言えないなりの理由がある・・・つまり言ってしまうとこの世界の秩序が乱れてしまうからだ」
どういうこと?
ワケわからん?
「じゃあなんっだったら教えられるんだ!」
「答えられる限り」
「じゃあこのマンションはなんのためにある?」
「君みたいな新人からベテランまで収容している場所だ」
「俺以外にもここに来たやつがいるのか?」
「全住人がそうだよ・・・皆なにも知らずにここに来る」
全員・・・記憶喪失だと!?
それは・・・とんでもない世界じゃん!
なにのたまってんのこのオヤジ!
それで秩序あんの!?
「ねぇ君聞いてる?」
全然聞いてないです。
聞きたくないです。
「でも記憶をもらうことは出来るんだよ」
どういうこと?
「まぁこの件は追々わかることだからおいといて、他に聞きたいことあるかい」
それ今教えてくれません?
ダメですか?
なにもかもが、わからなすぎて、何から聞いていいか、わかりません。
「信じられないのもわかるよ、そして君が混乱しているのも・・・じゃそろそろいいかな」
「誘導係りー」
「ハイは~い」
誰?
初老のおじいちゃん。
メガネを掛けた坊主頭、全体的に小汚ない。
「この人、新人だからいつも通り任せるよ」
えっ・・・なに?何するの?
「じゃあこれに着替えてもらえる?」
パジャマ?
水色に白いラインが幾つも入ったわりとオーソドックスなやつだ。
「考えない!着替える!」
あの~パンツとか?
ないっすよね~。
取り敢えず渡されたパジャマに着替える。
2・・・?
なぜか着替えた後に感じるこの数値は・・・?
「その感覚はパジャマの防御力だから」
防御力?
「どういうことですか?」
「・・・」
あれっ?聞こえなかった?
「どういうことですか!?」
「ハイ次いきま~す」
無視ですか?
そうですか?そうきますか?
ならこっちだって黙っちゃいられない。
「ちょっと管理人さん、なんなんすかこの人!?」
「・・・あ"~ん!」
こわっ!
さっきとキャラ違いませんか?
「そりゃ怒る、だってもうマニュアル終わってるからこの人」
まにゅある?
新人マニュアルみたいなのあったの?
じゃあ、いままでの全部演技?
どおりで慣れてると思った。
そりゃね・・・みんな記憶喪失で来るもんね・・・マニュアルだってあるよね。
ってどこ行くの?
ってか今思ったけどこのマンション奥行半端ないな~。
さっきから通り過ぎる人の格好が、気になるんですけど。
なんせ、皆さん鎧や兜をしてらっしゃる。
それに様々な武器まで。
仮想パーティー?
「皆さん、なんで鎧なんか着てるんですか?」
「・・・」
クッソ~!このジジイ!
完全に無視しやがって!
「はい!質問!」
「君はクズだから!」
なに、このジジイ?
人が、質問しようとしたらクズ扱い?
デリカシーないの?
「僕はねぇ君を知ってるんだ」
「ど・・・どういうこと?」
「過去・・・過去の君に会ったことがあるんだよ」
「記憶があるってことですか?」
「・・・」
クッソ~!
大事なところで無視しやがって~!
こんなジジイと知り会いなんて、前の俺どうかしてるぜ!
しかし、このジジイが言ったことも気になるよな~。
過去の俺がクズってこと。
まぁ、こんなジジイに言われたところで、こっちは痛くも痒くもないとけど。
あれっ?
何階に行くの?
エレベーター使わないの?
みんな使ってるよ。
「エレベーター使わないんですか?」
「今の君が乗れば死ぬから」
「どういう意味ですか?」
「・・・」
ツンデレか?
なんか取っ付きにくいジジイだな~。
いやな奴・・・。
「早く!」
先々行きやがって!
いったいどこまで昇る気やねん!
着いた場所は、十階だった。
なぜかその場所だけは、開けていた。
駐車場のような作り、そこに様々な店が立ち並ぶ。
入り口には二人の兵士?
重装備にして強そうだ。
「銅貨一枚になります」
片方の兵士がジジイにそう言った。
入場料とるの?
銅貨一枚?
十円のこと?
「すいませ~ん、誘導係りです」
「こちらこそ、わかっていながら、一応約束事なので」
ジジイすごい丁寧。
ちょっと見直した。
「いえいえ、いつも大変ですね~」
「こんな仕事で、生きていけるのなら対したことではありません」
「でしょうね~」
「・・・」
やっぱりウソ。
さすが、やな奴。
その二人を無視してジジイはサクサクと歩き出す。
なんだろうここ?
武器や防具を飾っている店。
何かを熱っして叩いている店。
何かを焼いて串焼きにしている店。
服を飾っている店。
何かの道具を飾っている店。
鶏を柵に囲っている店。
コンビニぽい店。
家具や寝具を飾っている店。
小さな闘技場。
食料品を飾っている店。
喫茶店ぽい店。
何かの寄り合い所。
まるで百貨店だ。
活気があって喧騒がある。
通り過ぎる人々は、過去の世界にはない格好をし闊歩している。
鎧を着ている者、兜をかぶっている者、上半身裸の者、見たこともない服を着る者、一つだけ共通することは、皆武器を持っていることだ。
武器や防具を飾っているひとつ店に目がいく。
俺は立ち止まり、飾ってある内のピカピカの剣を、持ってみたいという感覚に陥る。
あの時の感覚・・・さっきパジャマを着た時に出た数値・・・もしこの剣を持ったら・・・数値が出るんじゃないだろうか?
「自分、売り物に手を出したらダメやから」
なんでわかった?
そりゃそうか、新人、記憶喪失して来たら、試したくなるよな。
「ハイ行くよ」
「どこに行くんですか?」
「さぁ~?」
このクソ爺!
後ろから蹴ってやろうか!?
無視して歩きやがる。
着いたのは、ひとつの喫茶店ぽい店だった。
クソ爺が入って行くので、付いていく。
中に入り、店員らしき人に案内されたのは、二人が飲食するには充分なスペースだった。
喫茶店だ。レトロな椅子や机、見事な馬の絵、モダンな壁紙、豪奢なシャンデリア、どれもがこだわっていて、それでいて落ち着く。
客は、そんなに居なかった。
クソ爺にしては、いい店を知っている。
なかなかやる。
少しだけクソを取ってやる。
店員が注文を取りに来て、ジジイは、アイスコーヒー俺もそれに習い同じものにした。
店員は女性だった。ジジイはいやらしい顔つきだった。だが俺は、腰に差しているレイピアのほうが気になった。
何故?皆武器を持っているのか。
「ええケツしとんな~!」
やっぱりクソが必要だ。
そして、この人、関西人ではなかろうか?
一枚の紙を俺の前にスススと渡される。
何これ?
「それが君のステータスだから」
「ステータス?」
「君はもう知っているはずだよ」
なんのこと?
「取り敢えず、見なさい」
俺は紙を見つめる。
名前:細
職業:なし
スキル:なし
魔法:なし
Lv:1
生命力:14\14
体力:22\22
魔量:2\2
筋力:8
機動力:18
柔軟性:16
瞬発力:18
バランス:45
器用さ:7
魔力:6
集中力:33\33
精神力:50\100
魅力:50\100
時給:0
燃費:0.3
攻撃力:16
防御力:20
ポイント:0
・・・。
名前以外・・・知っている!!
俺の中ある確かな数値!
よくよく考えれば・・・おかしい!?
現世にはこんな数値存在しない!
それを、あたりまえのように思っている自分がいる!?
「だからゆうたやん!」
クソ爺の声が遠くに聞こえる。
俺は戦慄した。
本当に違う世界に来たことを!
店員がコーヒーを運んで来た。
クソ爺は、相変わらずケツを眺めている。
俺はまだ落ち着いていない。
「君の気持ちもわからなくもないけど・・・来たもんはしゃーない」
そうなんだけど・・・。
「受け入れてこれから先、どうやって生きて行くかを考えて行かんことには、なにも始まらんし」
コーヒーを飲みながら他人事のように、言うクソ爺に腹立つ。
「君、逆恨みしとるから」
なんて勘の鋭さ。
ただのクソ爺ではない。
俺は、紙に書いてある名前について考えた。
細・・・ほそ?ほそ、としか読めない。
ならば、ほそ、なのだろう。
そうか~俺は、ほそか~・・・。
ステータスについてクソ爺に聞こうとしたのだが。
「あの~それで「そんなものは、自分で調べなさい」
クソクソ爺だ!
死んでくれんかな~。
「一つだけゆうとくはな!ステータスは、絶対に他の人に明かさない」
「特にスキルだけは、ダメー」
どういうことだ?
「この世界に、このマンションに警察なんていないから」
「自警団みたいなもんは、おるけど・・・しょせんナンチャッテやから」
「ウソでしょ!?」
「・・・」
沈黙が答え。
マジのやつや。
それで皆・・・武器を持っていたのか!?
何と無くこの世界が見えてきた。
「この世界の通貨は、円じゃないから」
「銅貨、銀貨、金貨、超金貨、爆金貨、核金貨がある」
「日本でいう価値にすると、銅貨で百円、銀貨で千円、金貨で一万円、あとはゼロが増えていく感じかな」
なんか爆弾落とさてれいくな。
知らないことを・・・。
「あとは・・・エレベーターについてかな、あれはエレベーターであってエレベーターではない」
どういうこと?
「実はなんと!あのエレベーター乗ると違う世界に行けます!」
「・・・」
「なんか思っていたのと違う、自分、もっとリアクションあったのに!」
「あんたは俺のこと知ってんだろ!?」
「うん!君はクズだよ!しかも掛け値なし!」
なんか色々とムカつく!
この世界では、このクソクソクソ爺とは絶対に仲良くならん!
「ハイ、話戻しまーす」
「その違う世界に行ってお金を稼いだり、食い物取ったり、ステータス上げたりするから」
「この世界はステータスが物言う世界」
「普段、筋肉を鍛えてもステータスは上がらないから」
「ステータスを上げるには、エレベーターに乗って、百個ある内の一つのボタンを選び、行ってクリアーしないとダメだから」
よく喋るじゃん!
喋るのが、嫌いな人かなっと思ってたけどそうでも無いんだ。
それにしても不思議な世界だ。
身体を鍛えても強くならないなんて?
それにエレベーターに乗ってどこに行くんだろう?
「まぁ、エレベーターについては、説明するより、行ったほうが分かり易いかな」
「もういいかい?・・・あとポイントがあった!ポイントはエレベーターをクリアーしないと貰えないから」
「そのポイントで記憶のアメちゃんと交換したり、転送の砂時計、差し示す羅針盤、他にも色々交換できるから・・・管理人に言えば」
すごい疑問だらけ!
何から聞こう?
「あの~「以上~!」
「すい「以上~!」
「そ「以上~をもちまして説明を終わり!」
終わっちゃった~ってなるか!
この死んでくれんかな爺め!
爆弾を投下するだけ投下しやがって無視しやがる。
「・・・」
「ズズズズズー」
今もコーヒーを飲みながら無視してます。
「ハイこれ」
渡されたのはひとつの袋。
なんだこれ?
「それじゃ」
っと言って席を立ち出ていく死んでくれんかな爺。
「まだやろー!」
「おじさんもそんなに暇やないから」
「細さん!細さんだけにゆうけど、嘆いていても何も始まらんから!」
後ろ向きでジジイはそう語る。
爺がノーパンに何語る。
だが、この言葉が、いずれ金言になることを、俺は知るよしもなかった。