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魔の救世主  作者: 伊珠
3/4

2話

 横暴少女に無理やり転生させられ、落とされた場所は人の気配がない山でした

そんな笑い話にもならない状況をうまく呑み込めず立ち尽くす。 

周りを見てもあるのは鬱蒼とした木々に苔むした岩

 うん、これはあれだな まずは、こうするのが正解だろう

そう考え、息を吸う。

「ふっざけんなよおおお‼ あのお子様女神があああああ‼」

思いっきり天に向かって叫ぶ。 女神が聞いてるかどうかなんてわからないがそんなことはどうだっていい。

「だいたいなんなんだよ‼ これは‼ 転生させられ気づいたら樹海にいました? 俺を殺す気か‼」

「しかもなんだよ‼ ゴリ押しで送られたせいで目的もちゃんと聞けてねぇしよ‼ 俺に何しろって言うんだよ‼」

叫んで心のバランスを取ろうとする。 だが、それは結果として間違いだった。

「おっと、 ン"ン"ン"――――‼‼」

急に叫びだしたせいで立ち眩みを起こし、倒れる。 うまく受け身も取れず激痛が走った。

地面にうずくまりながらも女神の事を恨み続ける。 

 次あったら絶対泣かせる お仕置きとして体中をまさぐってやる

そんな地球でやったら即逮捕されるであろうことを心に誓いながら、体の痛みを必死にこらえた。


 あの場所へ帰るのは無理 それなら頑張って生きる残るしかない

そう考えられる程度には冷静さを取り戻していた 上った血が下がったおかげで新しく気付いたこともあった

まず、自分の服装が変わっていた 学校の制服からローブのようなものに着替えさせられている 人々の混乱を防ぎ、溶け込みやすくするためだろうか

 こんな小ネタ挟むくらいなら もっとケアをしっかりしてほしいんだけどな

そんなことを切実に思う。

そして、近くに川があるのを発見した これはものすごく幸運なことだった 数日は何も食べなくても空腹はあるが死にはしない だが、水は生死に関わってくる そこが、解決できたのは大きかった

しかも川沿いを歩いていけば街に着くことが期待できる 

情報が少なく真っ暗だった方向性の指針が定まった それは大きな成果である 

割と順調なことに満足しながら歩み始めた

だが、日が傾くまでずっと歩いだが街へは着かず野宿することとなった。


 ~遭難生活1日目 夜~

 初めての野宿に胸が湧きあがった

生前アウトドアな性格ではなかったので詳しくは知らないが想像で準備をし始める

少し山へ入り、焚き火用に薪を集め川へと帰る 

その途中でなにか食料はないかと探したが、目ぼしいものはなかった

 まぁ寝るのは地べたになるけど仕方ないよな 確か動物よけに火は絶やさないほうがいいんだっけ?

そんなうろ覚えの知識を頼りに準備をする だが、問題はすぐに起こった 木材があっても火種がない もっとはやくに気付くべきことだった 少し舞い上がりすぎだと反省する

「いや、待て 木をこすって摩擦を利用すればなんとか……ならないよなぁ」

打開案は自分の技量がないため断念せざるを得なかった。 日本で高水準の生活をしていた人間にサバイバル能力なんてあるわけがない 勉強はしていても生かす場がないのなら無力も同然だ

「異世界ってうまくいかないもんだな もっとスマートに物事が進む予定だったんだけど」

思っていたことがこぼれる 厳しい現実を噛みしめながら明日の為に早く寝ることにした だが、慣れない環境になかなか寝つけなかった


 ~遭難生活2日目~

 朝起きてみると節々が痛い 座って寝たほうが疲れないじゃないかと思うぐらいには体に不調は出ていた。

水を飲み、街に行くために歩き出す お腹は減っているがしょうがないことだった 街に着くまでの辛抱だ そう考え我慢する

歩いている途中で小動物を見つけたが、捕まえることはできなかった 

これから飯はどうすればいいのか そんなことが頭によぎるが考えても答えが出なさそうなので考えるのをやめた

今日も日が傾くまで歩くが街へはたどり着かない 本当にこの方向で合ってるのかと不安が出てくる

摩擦で火を起こすことに挑戦するが熱くはなったものの着火剤が足りない 

そんなことをしているうちに眠くなり目を閉じる 昨日より寝つきはよかった


 ~遭難生活3日目~

 座って寝たせいでお尻が痛い 頭がポォーっとして霞がかっているみたいだった 

そして水を飲み再び歩き出す

2日も食べ物を食べていないと少し危機感が募ってくる 本当にこのままで大丈夫なのだろうか 漠然とした不安が湧き出すが進むしか選択肢がないのでどうすることもできない

今日は少し遅くまで歩いたが一向に街には着く気配がない 空腹が我慢できずにそのあたりの草を食べてみた 少しはこれでマシになるだろうか だが、空腹は収まらなかった

俺は何のために転生させられたんだろう そんなことを思いつくがうまく思考できなかった そして倒れるように眠りにつく


 ~遭難生活4日目~

 ちゃんと起きたはずだが、現実感を感じられない 水を飲みまだ見ぬ街へと歩き出す 

その道中で何故こんな苦行を受けなければいけないのだろう 女神を子ども扱いしたからか それとも女神にセクハラ紛いなことをしたからだろうか そんなことが頭の中をグルグルと回り続けた

もちろん今日も街へは着かなかった もしかして人間が住んでいない世界なのかと考えるようになる 空腹を紛らわせるために限界まで水を飲む そして吐き出してしまった

これ以上は無理だと本能がささやいている もしかして何も成し遂げられないまま朽ち果てるのだろうか そんなことを思い、その続きは考えられなかった そして、静かに眠りについた


 ~遭難生活5日目~

 起きるがもう意識がはっきりとしない 歩くのもつらいくらいに衰弱していた もうこれ以上は無理だと理解する 最後のあがきとして脇目も振らずに走り出す

何回も気を失いそうになるが走るしか生き残る選択肢がない 夜になっても休まずに走った 

やがて、力尽き倒れる。 ここで死ぬことを悟った

虚ろな目になにかが動いたのを捉えたがそれが何なのかは認識できなかった そこで意識が途絶えた


 目を覚ますと小さな部屋の布団の中で目を覚ました。 どうやら、誰かが救助してくれたらしい 俺の最後の足掻きが無駄にならずよかった

「てか ここどこ? もしかして街についたの?」

その声が聞こえたのか 誰かが部屋の扉をノックしてきた 

「どうぞ」

 助けてくれた恩人だろうか? なんにしても感謝を伝えたい

だが、その考えは、ノックした人物が入ってきたと同時に消え失せた。 

入ってきたのは赤い皮膚に角があり筋骨隆々の大男 日本において地獄にいるとされる鬼の姿だった

「おい、お前 俺を捕まえてどうする気だ ぶっ殺すぞ 最近ちゃんと食べてなかったから俺を食ってもまずいからな」

布団から飛び起き、命乞いか脅迫か訳の分からないことを言う俺に鬼は困惑したように口を開く。

「別に食べないから あんたが倒れてたから運んだだけだから 安心して」

そういい、身振り手振りで説明する ジェスチャーが大きいのが気になったがそれ以外不自然な点はなかった。

「そうか、ありがとな ここまで運んで来てくれて そんな見てくれだからつい警戒してしまった 本当にごめんないさい」

そう謝ると鬼は目を丸くした。 人間が魔物に謝るということはそんなに珍しいことなのだろうか 

そんなことを考えたがどうやら違ったらしい。

「お兄さん なんで魔物の言葉がわかるの? もしかして人間と魔物のハーフだったりする?」

あー、そういえば女神が全ての言葉が理解できるとか言ってたな これって魔物の言葉も含まれるんだな そんなことをのんきに思った 質問には少し返答に迷ったが案外すぐに決まった

「話してもいいけど、その代わりにご飯くれない?」

こうして俺は死の淵から脱することができた

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