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人魚姫になりたがる女

作者: 落 花枝

自分が思っているほど、他人はなんとも思っていないのかもしれませんが。

気になっちゃうんですよねー…。

消えてしまいたい


もがいて浮上する。


また、あぶくになれなかった。

臆病者。

消えたいくせに、肺はいくらでも空気を欲しがる。


いつもはすべてを忘れて安らげる場所なのに、今日は違う。


扉を開ければ、洗面台の鏡に写る裸の自分。

醜い豚。

神様は私にひとつの才も与えてくれなかったと、逆恨み。


周りから自分はどう思われているのか。そればかりが気になって、生きるのが辛い。

なりたい自分を空想して、何枚も被った安っぽい皮。人を不快にさせたくないつもりでいたけれど、結局は自分が傷つきたくないだけだった。

出来るつもりが出来ないことだらけ。大抵の人がすぐ気づく。そして嫌う。離れて行く。


私の居ないところで、私の悪口を話しているのだろうか。

疑心暗鬼。そしてひとり、浮く。

もしかすると、自分は臭気でも放っているのかもしれない。


消えてしまいたい


風邪でもないのに、マスクが外せなくなった。



「もっと気を利かせて。」

人を不快にさせたくないくせに、何度も受ける同じお叱り。

チクリ。チクリ。

焦る。そして空回る。

どうして出来ないの?

どうしたらいいの?

わからない。わからない。


人間として最低レベルだと言われた。

認めるよ。

私はきっと、大切なことに気づけていないんだね。


消えてしまいたい


全部自分のせい。

変われないから、変わらないから苦しい。

嫌い。嫌い。大嫌い。

けれど、心の底では大切な自分。守りたい自分。


消えてしまいたい

消えてしまいたい


なのに、次もきっとあぶくになれない。



死ぬのは怖い。



明日が来る。

歳を重ねる。

私は生きている。


これって、幸せだね。


読んでくださり、ありがとうございました。

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