第一話
駅を出た少年は、まっすぐ学校を目指した。
その途中に、商店街があったが商店街から出てくる人の殆どは僕の事を凝視している、無理もない少年はこんな暑い夏の真っただ中で、長袖の冬用の学ランを着用し、きちんとボタンまで閉めてある
その中でも眼を惹いたのは、青色の千鳥格子柄のネックウォーマー、
鼻が埋まる程深く被り、銀縁の眼鏡を着用している。
そんな人々の注目をよそに、彼はくしゃみを一つ。
「っくしゅ、寒い…」
そのくしゃみによって、さらに視線を集める
そして少年は周りの視線に初めて気がつき、ウォーマーの下で薄く笑った
「また人間は僕のこと、化け物扱いする…」
誰にも聞こえない声で、そう言った少年―零弥は商店街を過ぎ、学校の門まで、やってきた。
”ここは、僕の居場所になるんだろうか”
そんな、事を思った。
嗚呼、前の学校は最悪だった、目が赤いだけで酷くいじめられたものだ
居場所なんて化け物にはない、そんなことまで言われた記憶がある。
それでも、また性懲りもなく居場所を求め続ける愚か者が僕なんだけれど
自分の愚かさに自分で自分を嘲笑いながら
学校の門をくぐり、僕は真っ先に外部訪問者専用の入り口に入り、生徒の目につかないよう、職員室を目指した。




