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プロローグ
この町では、僕を知る者はいないのだろう。
そう、頭のなかで思考を躍らせながら僕は下車した
駅員が汗を流しながら、赤く火照ったアスファルトに水を撒いていた
そんな駅員の目の前に目にルビーを当てたような瞳をもった少年が
「すみませんが、青藍高校はどちらへ向かえばよろしいのでしょうか」
駅員は一度目を疑った、人間に赤い瞳など存在するものかと、その少年を見ながら内心吸血鬼なのかと、一瞬疑ったが、少年はとても穏やかな瞳をしており、見た印象は普通の高校生という出で立ちだった
「え…ああ、ここの駅からずっとまっすぐ行ったところにあるよ、すぐわかると思うよ」
「すみません、僕…ここに来るの初めてなんです。教えていただきありがとうございました」
ぺこりと、駅員に一礼をし、学生ラン姿の少年は改札口の方へ歩いて行った。
駅員は、自分の持てる全ての知識を振り絞った。
「…忌み子、」
口から洩れたのは、そんな単語だけだった。