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震度3の嘘  作者: コケシ
1/1

始めに

面白い作品を書く事はできません。

ただ、ただ書きたい文を、書きたい作品を、書いていくだけですので、基本的にはつまらないです。


温かく見守ってください。

                      1

 僕はあの日を忘れる筈もない。

 中3の卒業式の日、その男の子がした事を。

                      〇

 卒業式後、午後1時、学校の駐輪場にて。

「ごめん、こんなに寒いのに呼び出しちゃってさ・・・・・・・」

「・・・・んーん。全然気にしていないから・・・・・・・・」

 彼女はこの緊張感をなんとなく感じ取ってっているみたい。

「んじゃまぁ、とにかくここで立ち往生もなんだし話ながら帰ろっか?」

「・・・・うん・・・・・」

 帰りながら話を進める。

「思い返してみると、この3年間・・・・・長い様で短かったなぁ・・・・」

「・・・・・・・うん・・・・・・・・・」

「俺さぁ、お前と初めて会った時の事未だに覚えてるんだよ・・・・・・」

「最初に会った時・・・・・・確か、中1の体育際の実行委員で一緒になった時・・・・だっけ・・・」

「いんや・・・・・、もっと前だよ・・・・・」

「えっ・・・・?」

「最初の席ん時、俺の前の席がお前だった。んで、俺の小学校の時の癖でさ、前の女子の髪を弄る癖があったんだよ。んで、お前の髪をクリクリしたのが最初」

「あはは・・・あったね。そんな事。あの時、なんだろうこの人?って思ったの覚えてる・・・」

 どちらもはにかみながら話合っていた。

「俺さ・・・・・あん時からずっと言い忘れてた事があったんだよ・・・・・。多分、今日言わなかったらこれから先言えない気がする・・・・・。高校違うしね・・・・・。だから・・・・・・」

 完璧に空気が出来上がった。

 制限時間10分。これだけあれば余裕。

                      〇

 卒業式後、午後1時半、近所の公園にて。

「よっ。どーした?そんな浮かない顔して」

「・・・・いや、別に・・・・・・・・・」

 口元で「なんでもないけど・・・・」と呟いているのが見える。

「来てくれないと思ったけど・・・・以外に可愛いとこあんじゃん」

「そりゃぁ、あたしだって・・・・・・・」

 その後、ぼそぼそと呟いていたが、これは分からなかった。只、頬が紅くなっているのが確認出来ただけでも収穫だ。

「ねぇ・・・・話って何?」

 その言葉が発せられるのと同時に時間が止まった様に空気が落ち着いた。

「はは・・・・・・・分かんだろ?・・・・・察しろよ・・・・・・・」

「うん・・・・」

 僕は視線を敢えて逸らす。

「俺・・・・お前と高校違うじゃん?んで・・・・多分、今言わなかったらこれから先言えない気がすんだよ・・・・・。だから・・・・・・・」

 仕上げと行きますか。

                      〇

 卒業式後、2時12分、放課後の学校にて。

「やほっ。ちっと遅れちまったけど・・・」

「ホントだよ!2分も待ったよぉ!まったくもぉ!」

 空気がつくりづらい・・・・・。

「でも、多分、今から私が言われる事が私の予想通りだったら私、許しちゃう!」

「ほぉ、今から俺がお前に言うことをお前は予想できると?」

「当ったり前ぇよぅっ!私を誰だと思ってんのぉっ?」

「別に誰だとも思ってねぇよ」

「おっとそんな素っ気無い突っ込みは勘弁だゼ、兄さん」

「俺は残念ながらお前の兄さんじゃねぇよ」

「んじゃ、私の夫だぁいっ!」

 いきなりの攻撃に内心、かなりびびった。只、顔には出さない。

「関係飛びすぎだろ!」

「・・・・・・・・・・・」

 いきなり黙り込む。ここら・・・・かな。

「ん・・じゃぁ、さぁ、私の彼氏・・・・・・は?」

「嫌だね」

 ここは即答するのが正解。

「なははっ・・・・・そーだよねっ!私なーに言ってんだろ!んー、もぉ熱でもあんのかなー、私」

 頑張って笑顔を作っているが、既に涙が睫毛の手前まで来ているのが見て取れる。

 僕は溜息をつき、歩み寄る。

                      〇

 卒業式、2時28分、近所の河原にて。

「はい!これ卒業祝い!」

「うわぁー、ありがとうございます、先輩!」

 僕が呼び出したって言うのに何故か僕がプレゼントをもらうという違和感は振り払えない。

「はぁ~、君も中学卒業かぁ~。なんか少し寂しいなぁ~」

「何でですか?僕としては喜んでもらいたい気持ちで一杯なんですけどね」

「う~ん、なんていうか、ちっちゃい頃から君をずっと見てて、いつも一緒にいて、あんなにちっちゃかった君がもう中学卒業なんだよ?なんか不思議な感じ・・・・・」

「その感じ僕には分かんないですね。と、いうか先輩と僕って1年しか年の差ないじゃないですか」

「その1年間は大きいよ」

「そーですかねー」

 僕は気の無い相槌を打つ。

「そーよー。私ね、君を世話しなくちゃって思って今まで生きてきたんだから」

「んな、大袈裟な。僕一人で誰かの生死左右出来ちゃうんだったら、この世界は終わりですよ」

 僕は呆れた調子で言う。

「だったら・・・・・・この世界は終わりだ・・・・・・・・」

「えっ?」

「私・・・・・・君がいないと駄目・・・・・・なんだ」

 そう言ってはにかむ先輩。

「ねぇ、いつから私の事・・・お姉ちゃん、って呼ばなくなったんだっけ・・・。分からないけど、凄く嬉しかった・・・・・私を幼馴染としてじゃなくて、一人として見てくれたって思ったから・・・・・。けど先輩って呼ばれる様になって・・・・・なんか前より遠くなっちゃって・・・・・・・・」

 来た。見つけた。ここだ。

「なんか、ごめんね!君を祝おうと思って来たのに・・・・・・なんか変な話しちゃって」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「〇〇〇君・・・・・?」

 不安そうに僕の名前を呼んだ。

「僕は・・・・・・・・・・・・・」


                      〇

 卒業式の日。

 

 帰路。

 

 近所の公園。


 放課後の学校。


 近所の河原。


 それぞれの時間、それぞれの場所で、それぞれの人に、それぞれの一人の男の子が、言う。


「「「「・・・・・今までずっと好きでした・・・・・」」」」

                      

 もし、その男の子は嘘を吐いていたら。

 もし、その男の子はその4人の内の誰一人として好きじゃなかったら。

 

 その男の子はどれだけ大きな罪を抱えた事になるのだろうか。

 その男の子は・・・・・・僕はどれだけ恨まれるのだろうか。


 

 

 

自分の好きなように書けました!!

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