私達の結婚 2
「そんなに緊張しなくても大丈夫だから」
「うん…」
あれからしばらくして私は樋口と一緒に彼の実家へと向かった。彼から教えてもらった予備知識としては樋口には両親と兄、姉がいるということ、兄夫婦とご両親は同居していなくて別に暮らしていること…
「…反対されないかな?」
「大丈夫だって言っただろ?それに何度も『さっさと連れてこい』って急かされてたんだ」
最寄の駅から樋口の実家まで歩いたが、その距離は駅からそう遠くはないはずなのに何キロも歩いたような気がした。もともと人見知りなので全く知らない人のところに行くのはかなり苦手なのだ。
「で?祐輔叔父ちゃんとはどこで知り合ったの?」
「結婚式の3次会?何かベタって言われればベタだよね」
「ってか ひなたちゃん騙されてない?本当に祐輔叔父ちゃんでいいの?まあ悪い人ではないけどおっさんだよ?」
「そうだって!考え直しなよ。ってか俺はどう?」
「あんたは引っ込んでなっ!でもマジでもう一回考え直した方がいいって!」
目の前に同じ年頃の男の子と女の子が私を取り囲むように座っている。何というか…樋口の家に着くと挨拶もそこそこに私と樋口はあっさり引き離され、私はここで尋問を受けている。彼らは…樋口の兄姉の子供達、つまり甥と姪になるらしい。
「年が離れてるとは聞いていたけど 私と1つしか違わないとかさ…祐輔叔父ちゃんに何度聞いても言わないはずだよね」
確かにそれはかなり言いづらいかもしれない。私は手に持っていた湯飲みのお茶を一口飲んだ。少し冷めかけていて猫舌には適温だ。
「そろそろこいつを帰してほしいんだけど?」
「あ、祐輔叔父ちゃん 聞いたわよ!私とひなたちゃんって1つしか違わないじゃない」
「あ…そうだったか?」
「そうだったか?だって!まあいいよ、ひなたちゃんに馴れ初めとか色々聞いたし~」
「うんうん!あとでお父さんたちに話してあげようか?」
「それいいかも!」
「ああ~ 言いたければ言えばいいだろ?お前たちも羨ましかったらさっさと相手探して来い!」
「あっ!自分が幸せだからって…ふーんだ!」
樋口は適当に彼女達をかわしながら私を部屋から連れ出した。そして私達はもう一度ご両親に挨拶して帰宅することにした。何度も泊まっていく様に勧められたが、樋口が頑なに帰ると言ったため 私は何度も頭を下げて電車に乗って樋口の家へと戻った。
「何で泊まらなかったの?」
「泊まったら またあいつらから何だかんだと言われるだろ?それに引越しの準備もしなきゃいけないしな」
引越しの荷物はあまり多くはなかったが、樋口は結構忙しく片付けをする時間が取れなくていた。だから私も樋口の両親への挨拶も兼ねて引越しの手伝いに来たのだ。そして明後日は樋口の送別会と私達の結婚のお披露目会が開かれることになっていた。
「あのさ…」
「ん?どした?」
「祐輔さんは本当に私でいいの?私 祐輔さんの子供 産んで…」
「じゃあさ、お前は普通の体で子供が産めたとして…俺が『病気で子供が出来ないから お前とは結婚はできない』って言ったらどうする?お前は俺を諦めるか?」
「…………」
「お前は俺との結婚を諦めるか?」
「…嫌です。子供なんていなくてもいいから…」
「だろ?それと一緒だから。もうその話はなし!いいな?」
私は樋口の優しさに甘えているのはわかっている。だけど彼がそれでもいいといってくれるなら…私は彼にすべてを捧げてもいいと思う。残りの人生を彼のために…
やっと1章の結婚前が終了です。次は結婚後になります。更新が遅くなってすみません…




