私達の結婚
遠距離恋愛がダメな理由、それは私自身に問題がある。
恋人同士はある程度の信頼関係がなければ成り立たない。
「彼(彼女)を信じている」
それが恋愛の最低ベースになるかもしれない。
遠距離になれば会う時間は確実に減る。周りの人間関係も違うし、お互い仕事をしているのだから忙しい時だってある。自分が忙しくて電話も出来ない時、もしかしたら相手は違うヤツと…なんて考え始めたらもう何も手につかなくなるだろう。事実それで別れる恋人達は多いし、私もたぶんその1人だ。だから遠距離はしない。そう決めていた。
私は樋口のことを信じている。彼がもし私以外の人を選ぶなら…それはそれで仕方がないことだろう。だけど彼以外信じることが出来る人はいないのだから 傷ついても信じてみたいと思う。たぶんこれが私の最後の恋になるのだろうから…
「大丈夫だよ、仕事なんだもん 大丈夫」
そう言いながら私の手を握っていた彼の手を握り返した。思えば私達は3年会わなかったし、連絡も取らなかったけど結局お互いのことが好きなままだった。結構楽観的に考えればいいのかもしれない。
慌しくやって来た樋口は翌日帰っていった。
「結婚おめでとう!いよいよだね」
「うん、ありがとう。色々お世話になりました」
「本当だよ!まあ冗談だけどね。ところで結婚式はどうするの?やっぱり名古屋でやるの?それとも…こっちでやるの?」
「うーん…」
「樋口さんのご両親って隣の県に住んでるんでしょ?それにひなたの知り合いはこっちばっかりだろうし…あ、でも義兄さん関係は名古屋なのかぁ」
「まだそこまで話は進んでないし…それにあまり結婚式って好きじゃない」
「はぁ?結婚式が好きじゃないってあんた…」
正確に言えば披露宴が好きではないのだ。何だか見世物みたいな感じであまり…それより親しい仲間と食事会でもした方が楽しいと思う。
「ともかく何にも話は進んでなくて、結婚しようって話になっただけなの」
「そっかぁ…」
「そうだよ!その前にあちらのご両親に挨拶もしてないもん」
樋口はあちらに着くとすぐ悦子に私たちのことを連絡したらしく『何で一番の連絡が私からじゃなくて樋口さんからなの?』と怒りながら電話をしてくれた。確かに私も連絡をしようと思ったが、何て言えばいいのか照れくささもあって延び延びになっていたのだ。
「ともかく樋口さんから近日中にご両親のところに行く事にはなってるんだよね」
「ねぇ…ひなたっていつもそう呼んでるの?」
「へ?」
「だから~ 樋口さんって呼んでるの?旦那様のこと!」
「だっ…」
思いがけない悦子の指摘に思わず言葉に詰まった。そろそろ樋口はまずいかもしれない。
「ともかく祐輔さんと話をして 式とか決めるから。何かあったらよろしくね」
私はそう言って電話を切った。




