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私の秘密  作者: 響子
第1章
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33/51

私の秘密 2


それはふとしたきっかけからだった。専門学校に行っていた当時、私はものすごい生理痛や生理不順などに悩まされていた。同じように悩んでいた女の子と2人で勇気を出して婦人科に行って見たのだ。せめて生理痛くらいよくなってくれればいいと楽観的に考えていた。

最初は2人一緒に予約を入れていたけど お互い彼氏がいたし、バイトがあったりしてだんだん一緒に予約が入れられなくなっていった。そしてそんなある日、私は告げられた。


「佐伯さんは現在 排卵がほとんど行われていない状態です。このままでは自然妊娠の可能性はかなり難しいでしょう」


衝撃的な言葉だった。女だったら誰でも子供が産めると思っていた。いつか自分の子供を抱けると信じていた。それが無理?


「もちろん妊娠できないと決まったわけではありませんが、ここから先はご結婚予定が決まったりされてからの……」


私はその日どうやって家に帰ったのかわからなかった。






「妊娠できない可能性のある女と結婚したがる人なんていないと思うんです。私がもし妊娠できないのであれば 最初からそれを相手に告げたいと思います。騙すようなことはしたくありません」


後日私は医師に食い下がって検査をしてもらった。もともと婦人科とか女の子が行きたかるような場所ではないが、私は必死だった。きっと治療すれば普通に子供が産めるようになると信じていた。結果は… そしてそれから程なく私は付き合っていた男に捨てられた。そして私の気持ちを追い立てるように姉が妊娠した。



何で姉は何もかも持っているのだろう。頭もよくて美人で、運動だって出来て そして素敵な人に出会って結婚して子供まで…私には何もない。





樋口は私と結婚したら 子供を希望するだろう。いや、子供を希望するからこそ私なのかもしれない。樋口は40歳を越えたから妊娠適齢期とも言える私だからこそ…

彼は子供好きだというのは知っている。子供を欲しがっているのも知っている。


「ひなた、それ樋口さんに…」

「言えるわけないよ!子供が産めないなんて言えるわけない!」

「でも子供が産めなくても 樋口さんはひなたのこと嫌いになるわけないじゃん」

「そうだよ。樋口さんはそんな人じゃないでしょ」


だからこそ言えない。たぶん樋口は自分の子供を諦めるだろう。でもそれでいいのだろうか?私はずっとそのことに負い目を感じなければいけないだろう。そして何かあったときにお互いの不満は爆発するのだ。

事実、私がバイトしていた隣のお店の店長さんは子供が産めないとわかっていても相手の理解があって結婚した。だが数年後、旦那さんの浮気で離婚することになった。


『やっぱり子供が欲しかった』


浮気相手の女性は妊娠していた。あまりに勝手過ぎる言い分だと思った。最初からわかってたじゃない!それでもあなたは店長さんを選んだ。なのに……そしてその姿は自分と重なった。もし自分がそうなったらどうしよう…間違いなく捨てられる。そう、あの時と同じように裏切られて捨てられるのだ。もうあんな思いはしたくない…

樋口との結婚はできない。どんなに好きでも…いや、好きだからこそ結婚はできない。嫌いになってほしくないし、嫌いになりたくもない。裏切られたくもない。


「ひなた…」

「ゴメンね。こんなこと聞きたくなかったでしょ?嫌な気分だよね」

「私こそゴメンね」


あかりが泣きながら頭を下げた。彼女は2児の母できっと自分の妊娠も私にはショックだったと勘違いしている。


「何で謝るの?私 あかりの子供と遊べてよかったと思ってるよ?姉のことだって今は何にも思ってない。反対に私の分までがんばって産んで欲しいかなーって思う」

「ひなた、不妊治療とかどうなの?それやったら妊娠するんじゃないの?」


私は首を横に振った。もともと私の卵子自体 ほとんど作られていないのだ。可能性は0ではないけど…





すっかり空気が重くなってしまった。私が帰る前にこんな気分のまま別れたくはない。


「大丈夫だから!そんなに深刻な顔しないで。世の中には子供が2,3人いて これ以上子供を望まないバツ1のいい男がいるかもしれないでしょ?」

「ひなた…」

「何よ!悦子も聞き出したくせに泣いたりなんてしたら…ずるいよ…」

「うん、わかった。泣かないから…どうしても子供が欲しいなら私が『赤ちゃんポスト』に預けられた子供をもらってきてあげるから…」

「それって犯罪じゃない!」

「大丈夫、あそこに知り合いもいるからばれないようにする…」


私達は今までと同じように笑って別れることができた。2人とも私のために泣いてくれてありがとう。私の苦しみを聞いてくれてありがとう。友達をこんなにありがたいと思ったことはなかった。



  

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