別れても…(樋口祐輔side)
「寂しい?」
「ああ、俺はお前にあまりかまってやれないだろ?寂しいとか思ったりしないのかなと思って…」
グズグズ考えてもわからないので俺は正直に聞いてみた。ひなたはかなり不思議そうな顔をして俺を見上げている。
「えっと…祐輔さんが仕事で遅くなるから寂しくないかってこと?他にやることあるし、そんなことしてたら祐輔さん帰ってくるじゃない?だから特別寂しいとは思わない…かな?……あ、ううん、寂しい!寂しいよ?寂しいけど…うん、寂しいけどね。でも…ほら、仕事じゃない?うん…」
寂しくないと言った言葉を俺が不満に思ってしまったと勘違いしたのか精一杯フォローし始めた。黙っていると最後にはぎゅっと抱きついて『ゴメンナサイ』と誤る始末。俺は笑いを堪えるので必死だった。俺がひなたの額にキスすると怒ってないと思ったのか嬉しそうに笑った。
俺たちが付き合い始めて始めてのクリスマス、俺は彼女にプロポーズしようと思った。だが俺にはクリスマスはいい記憶がない。前の結婚もクリスマスにプロポーズしたのだ。だったら正月はどうだ?それとも…記念日になるような日を考えるがあまり浮かばない。
バックやアクセサリーに興味がないひなただったが、クリスマスプレゼントは俺が見つけたキーボルダーを渡した。手をモチーフにしたものでシルバーとゴールドのペアで買った。ペアとかあまりつけたことはなかったがキーホルダーならそこまで目立たないだろう。彼女はとても喜んでくれた。
『これからも手を取り合って一緒に歩いていこう』
俺なりのメッセージを込めたプレゼントだった。だがそれから1ヶ月も経たないうちに俺たちは別れることになった。
―――仕方がない…
何度そう思ったかわからない。離婚した時も暫くは傷が痛んだが、いつしかそれも忘れていた。だがひなたのことはどうしても忘れられなかった。
朝、目を覚ますとひなたを探している自分がいた。
「見合い…ですか?」
「そう、樋口君再婚したいって聞いたんだけどどうかな?」
何が用かと思っていれば見合いの話、だがひなたを吹っ切るにはそれもいいのかもしれない。会うだけでもと会いに行けば、相手から即行断られた。
「私には好きな人がいます。どうしても諦めきれないんです。私は彼と一緒じゃないと幸せになれないんです!」
どうやら相手は年下で周りから反対されていて、強引にこの見合いに連れてこられたらしい。だがその言葉に俺は目が覚めた気がした。




