新しい未来に向かって 2
年が明けた。甥っ子達も冬休みが終わり、私も彼らの相手をする時間が減った。何しろ最近の子供はゲームが強い。姉夫婦は全くそういうのはできなかったから結局は私が相手になるのだが…
「うわっ…また負けた。ひーちゃん僕にも勝たせてよ」
「ふん!勝負は全力で戦わないと。拓馬もまだまだだね」
大体仕事もしながら子守りもなんて私にみんなは何を求めているのか…
「ひーちゃん、今日の郵便だよ」
学校から帰ってきた拓馬は私に郵便物を渡した。私のところに来る郵便物と言えばダイレクトメールがほとんどだ。だが今日はいつもより分厚い封筒が届いていた。それは結婚式の招待状で差出人は田上みきからだった。
田上みきは私や悦子と同じ専門学校の後輩になる。在学中だけでなく卒業してからも仲良くしていたが…相手は脇坂?誰だろう?私はすぐ悦子に電話をかけた。
「ああ、ひなたの所にも届いた?」
「うん、みきちゃん結婚するのはいいんだけど…私彼女とこっちに来て連絡も取ってないし、正直何で結婚式の招待状が来たのかわかんないんだけど…」
「私もひなたも出席しなきゃいけないのよ。だってみきの相手は村田君の先輩だよ?」
「えー そんなの私知らないよ」
「知らないも何も コンパにみきを連れてきたのは私とあんたで、村田君の先輩を連れてきたのは村田君でしょ?ある意味キューピッドみたいな?」
「でも…そんなの知らなかったよ」
「うん、私も実は知らなかったけど あれがきっかけで2人付き合ってて今度脇坂さんが大阪転勤になるから結婚…ってことになったらしいよ」
「そうなんだ…」
「みきちゃんにひなたの住所を聞かれて『ぜひ先輩には出てほしいです』っていわれてねぇ~ それにそっちに行ったっきり一度もこっちに帰ってきてないでしょ?たまにはあかりと3人で話そうよ」
あかりはあれから出産して今は2児の母になっている。封筒を開けると中に
『ひなた先輩にはいいご縁を紹介していただきましたのでぜひ出席してください』
と書いてある。ひさしぶりに悦子やあかりと昔のように話がしたくなった。
「じゃあ決まりね。えっと…宿泊先は私がちゃーんと手配しておくから気にしないで。こっちに来る時も空港にちゃんと迎えに来るからね」
私は悦子に感謝しながら電話を切った。そして結婚式をはさんで5日間休みを取って 3年ぶりに帰省した。