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私の秘密  作者: 響子
第1章
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時が忘れさせてくれる


あまりに眠れなくてあの時死んでしまったほうが楽だったかもしれないと思うほど悩んでいたが、もともと私は悩むのは得意ではない。そんなことより現実を受け止めるべきだと思った。世界で私だけが苦しいわけじゃない。世の中にはご飯もろくに食べられない人もいるわけで、その人に比べたら私はご飯はちゃんと食べられる環境にあるし、多少眠れないだけなのだ。


一時はゲッソリ痩せてしまった体重も家でゴロゴロしていればまた普通に戻ってくる。いつまでもゴロゴロしていても仕方がないので仕事を探すことにした。

これからのことを考えて販売員の仕事ではなく事務職、土日が休めるような仕事を探そうと思った。だが意外な難関があった。私はその頃PCにほとんど触ったことがなくて、エクセルもワードも出来なかったのだ。普通に事務職の求人欄を見ると「ワード、エクセル可能な方 歓迎」「経験者優遇」など記載されている。


「樋口さん、私にワードとエクセルを教えていただけませんか?」

「いいけど…じゃあまず僕のPCを貸すよ」

「で、でもPCって高価ですよね?それに樋口さんも使ってるじゃないですか!」

「いや、貸すのはもう使ってないやつなんだ。もちろんまだまだ使えるんだけど…」


部屋に戻って持ってきてくれたノートPCは本当にまだ綺麗だった。かなり安く売っていたらしくて衝動買いしたらしいが、DVDが焼けなくて結局あまり使うことがなかったらしい。


「普通にネットも使えるし、もちろんワードもエクセルも入ってるよ?ちゃんと設定してあるから今すぐ使えるからね」


そういって電源を入れてくれたPCは確かにインターネットに接続していた。


「ありがとうございます。助かります」


そして部屋の本棚にあった「簡単にできるワードとエクセル」という本を借りて勉強することにした。



実はワードやエクセルは本で勉強しなくてもネット検索すればやり方は書いてある。わからない言葉も検索すればしっかり説明してある。はまり始めるとついついのめりこんでしまう私は樋口が驚く速さでマスターしていった。小さい頃から習っていたピアノは全然上達しなかったが、右手と左手が別々に動くのでブラインドタッチもさっさとできるようになった。ちょうどその頃以前バイトをしていたデパートで通販のアルバイトを募集していた。もちろんインターネットでの申し込みがあった分を処理していくのでPCが使える人が条件だった。私は人事課に連絡すると私のことを憶えている人がいて面接ナシで雇ってもらえることになった。


「募集にも書いてあったと思うけど、売り場とは違うから基本土日休みだけどいいかな?」

「はい!よろしくお願いします」


私の仕事復帰となった。

  

 

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