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最終話「新たな一歩」
春の夕暮れ、大学病院の廊下には柔らかなオレンジ色の光が差し込んでいた。
窓越しに見える桜並木は、葉の緑と花の淡いピンクが混ざり合い、風に揺れるたびに花びらが舞い落ちていた。
芝生の上では、見学に来た小学生たちがはしゃぎながら走り回り、遠くで噴水の水音がゆるやかに響いている。
病院特有の消毒液の匂いは、夕日を浴びてどこか温かみを帯び、安らぎを与えてくれた。
娘は白衣の袖を整え、深呼吸する。
「今日で、学外実習も終わり…」
胸の奥には達成感と少しの寂しさが入り混じる。
手帳には、これまでの実習で学んだことや失敗、成功体験がびっしりと書き込まれていた。




