第10話 『嵐の家に現れた光』
春の午後。
家のベルが何度も鳴る。
娘と母が玄関に駆け寄ると、そこには制服姿の警察官が立っていた。
「失礼します。家族の一員について事情聴取があります」
母は驚き、娘を抱き寄せる。
「娘…大丈夫、怖がらないで」
しかし、警察官は母を連行するため、手を取ろうとする。
「ちょっと待って!」娘は必死に止めようとするが、力及ばず、母は涙を浮かべながらも車に乗せられていく。
「ママ…!」娘は叫ぶ。
その時、ドアの外から落ち着いた声が響く。
「君が困っているなら、僕が助けよう」
振り向くと、そこには蒼の兄が立っていた。
「あなたは…?」娘は戸惑いながらも問いかける。
「蒼の兄だ。君の父の意志を引き継ぐ者として、君たちを守る」
娘の胸に、少しずつ希望の光が差し込む。
「守ってくれるの…?」
蒼の兄は静かに頷き、柔らかく微笑む。
「怖くても、君は一人じゃない」
家の中。
娘は震える手で手帳を開き、今日の出来事を書き留める。
「ママが連れて行かれても、私は諦めない」
外の桜は風に舞い、花びらがまるで激しい嵐の中で光を放つようだ。
娘は深呼吸し、蒼の兄の言葉を胸に刻む。
「怖くても、立ち向かう。パパの夢も、ママも、守るんだ」
夜。
母は警察署で事情聴取を受けているが、心の中で娘の笑顔を思い浮かべる。
娘は家で一人、窓の外を見上げる。
「怖くても…怖くても、前に進む」
蒼の兄は隣で優しく娘を見守る。
春は、嵐の季節でもある。
でも、家族の愛と絆があれば、嵐の先にも新しい光が見える。




