第8話 『希望の崩れる日』
春の雨が、窓を叩く朝。
娘は手にした封筒をじっと見つめていた。
「…落ちた」
推薦で狙っていた大学、医学部。結果は不合格。
胸の奥がギュッと締め付けられ、涙が止まらない。
母はそっと娘を抱きしめる。
「大丈夫…諦める必要はないわ。次の道を一緒に考えよう」
娘は涙をぬぐいながらも首を振る。
「でも…パパ(蒼)だったら、絶対諦めなかった!」
その夜。
家の空気は重く、普段より静かだった。
娘が何気なく新しいパパの書類を目にすると、思わず目を見開く。
「え…これって…経歴詐称?」
母も驚き、固まる。
「どういうこと…?本当だったの?」
新しいパパは深く頭を下げる。
「ごめん…本当のことを言わなかった。過去の失敗を隠していたんだ」
娘の心に、怒りと裏切りの感情が押し寄せる。
「うそ…!どうしてそんなことするの?」
母も苦しそうに問いかける。
「君たちの信頼を裏切ってしまった…でも、君たちを傷つけたくなかったんだ」
翌日。
娘は学校で友達に打ち明ける。
「推薦、落ちちゃった…しかも、新しいパパのことも…」
友達は驚くが、励ます。
「大丈夫、あなたならまた挑戦できるよ」
娘は少し元気を取り戻す。
「ありがとう…でも、どうしても今は混乱してる」
夜。
家に戻ると、母と娘は静かに話す。
「娘…信頼って簡単には壊れない。でも、裏切りに直面するのは辛いわね」
娘は深く息をつき、涙をこぼす。
「でも、パパ(蒼)の夢も諦めたくない。新しいパパのことも、もう一度信じたい…」
母は娘の手を握り、微笑む。
「怖くても、揺れても、愛と信頼を選ぶことができるのね」
窓の外、雨の中に桜が揺れる。
春は、試練の季節でもある。
でも、家族の絆は、痛みを超えて少しずつ強くなる。




