第5話 『夢で会うパパ』
夜。
娘はベッドに横たわり、疲れた体を少しずつ休める。
目を閉じると、あの日の桜の香り、蒼の笑顔が鮮明に浮かぶ。
「ぱぱ…」
そのまま眠りに落ちると、夢の中で柔らかな光に包まれる。
目の前には、あの笑顔。蒼が立っていた。
「来たな…」
娘は涙を浮かべながら頷く。
「ぱぱ、私…夢の仕事を頑張りたい。怖くても、前に進みたい」
蒼は優しく微笑む。
「怖いのは当たり前だ。でも、それを乗り越えようとする気持ちが大事だ」
娘は目を輝かせる。
「私、一人じゃ無理かも…」
蒼は少し首をかしげ、手を差し伸べる。
「一人じゃない。俺はいつでも、お前の心の中にいる」
その言葉に、娘の胸の奥が熱くなる。
「パパ…ありがとう!」
蒼は微笑んだまま、ふわりと光の中に溶けていく。
でも、その温もりは確かに残った。
朝。
目を覚ました娘は、枕元の手帳を開く。
夢の中で交わした言葉を思い出しながら、今日の目標を書き出す。
「怖くても、迷っても、私は進む…」
母もそっと娘を見守る。
「夢で会えたのね…」
娘は頷き、微笑む。
「うん、パパが私に勇気をくれた」
窓の外、桜の花びらが舞う。
春は、怖くても希望を運んでくれる季節。
娘は深呼吸し、胸を張る。
「今日も、一歩ずつ頑張る」
蒼の愛と勇気を胸に、娘の春はまだ始まったばかり――。




