41/61
第5章 「新しい春、私の一歩」 第1話 『桜舞う朝に』
春。
蒼が天国へ旅立ち、数か月が過ぎた。
娘は制服姿で窓の外を見つめる。
桜の花びらが舞い、風が優しく頬を撫でる。
「ぱぱ、私、頑張るね」
小さな声だが、確かな決意がこもっている。
学校。
娘は少しだけ背筋を伸ばし、友達と並んで歩く。
「あのね…私、自分の夢に向かって挑戦することにしたんだ」
友達は驚き、でもすぐに笑顔で応える。
「すごい!私も一緒に頑張る!」
春の光が二人を包む。
娘は深呼吸をし、胸の奥に蒼の笑顔を思い浮かべる。
「ぱぱ、見ててね。私、負けない」
放課後。
娘は学校の図書館で、小さな目標を書き出す。
将来の夢。好きなこと。
怖くても、迷っても、前に進む勇気。
蒼が教えてくれたその勇気は、今や娘自身のものになっている。
「これが私の春だ」
窓の外の桜は、昨日よりも少し濃く咲いている。
娘はペンを握り、未来に向けて一歩踏み出す。
怖くても、揺れても、歩き続ける。
赤いランプの光はもう必要ない。
春の光が、未来を照らしている。
夜。
家に帰る娘は、手帳を胸に抱きしめる。
「明日も、頑張る」
私はそっと微笑む。
「うん、蒼もきっと見てくれてる」
窓の外、桜はまだ舞い続ける。
春は、終わらない。
そして、未来もまた、これから開かれる――。




