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第10話 『新しい春、そして希望』
桜の花びらが風に舞う朝。
病室で過ごした日々から、もう数日が経った。
蒼は天国へと旅立ち、家の中には静かな空気が流れている。
娘は制服姿で窓の外を見つめ、そっと手を合わせる。
「ぱぱ…ありがとう」
その声に、悲しみと希望が混じる。
朝食のテーブルで、娘がふと笑う。
「昨日、友達と笑ったんだ」
私は微笑む。
「よかったね」
「うん…怖かったけど、少し強くなれた気がする」
蒼が教えてくれた勇気を、娘は少しずつ自分のものにしている。
放課後。
娘は桜並木を友達と歩く。
風に舞う花びらが、空に光の道を作るようだ。
「ねえ、私、次の春も頑張るね」
友達も笑う。
「私も応援する!」
春は、繋がる勇気と希望で満ちている。
夜。
私は窓辺に座り、星空を見上げる。
赤いランプはもう点いていない。
でも、胸の奥には蒼の温もりが灯っている。
怖くても、迷っても、前に進める勇気。
それは蒼が残してくれた、永遠の光。
「春は、まだ続く」
娘の小さな手を握り、私は微笑む。
「これからも、ずっと一緒だよ」
桜の香りが、部屋いっぱいに広がる。
風が優しく吹き、光が差し込む。
春は、終わらない。
そして、蒼の愛と勇気は、私たち家族の中で生き続ける――。
未来へ、歩き出す春。
✨第4章・完




