表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もふの手のひら冒険録 〜ゲーム初心者の聖女(予定)、異世界で伝説のモフモフたちに懐かれる〜  作者: あめとおと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/12

生真面目な騎士の幽霊と、困り果てたプレイヤー


銀狼の背中に揺られながら、シノはついに「微睡みの古城」へとたどり着きました。

蔦に覆われた古い石造りの城門をくぐると、そこには予期せぬ光景が広がっていました。


「……困りました。実にもどかしい。主君の眠りを妨げる不届き者めらが、あんなところで……」


城のホールで透き通った体を震わせていたのは、フルプレートの鎧に身を包んだ幽霊の騎士、エドワードでした。NPCである彼の鎧は手入れが行き届いており、幽霊ながらも気品が漂っています。


その視線の先では、中堅冒険者のパーティーが、宝箱を守る「ガーゴイル」の群れに囲まれ、絶体絶命のピンチに陥っていました。


「クソッ、攻撃が通らねえ! このままじゃ全滅だ!」


戦士の男が叫びますが、ガーゴイルたちは「侵入者排除」のモードに入り、冷酷な爪を振り下ろそうとしています。


「あの……! 彼らを助ける方法はありませんか?」


シノが駆け寄ると、エドワードは驚いたように兜を動かしました。


「おお、調律師殿か。……彼らは城の『静寂の掟』を破り、大声を出したために警備システムを起動させてしまったのです。本来なら、彼らの心が静まればガーゴイルも止まるのですが……パニック状態では無理でしょうな」


「心が静まればいいんですね? ……よし。みんな、お願い!」


シノは銀狼の背から飛び降りると、ルナ・コットンを高く掲げました。


「スキル発動! 【安らぎのアンサンブル】!」


シノの奏でる透明な鈴のような音色に合わせ、ルナ・コットンが「きゅううーん」と高らかに歌い、銀狼が重低音の遠吠えを重ねます。


それは攻撃ではなく、究極の「リラックス・波動」。

戦っていたプレイヤーたちの肩の力がふっと抜け、あまりの心地よさに武器を落としてその場に座り込んでしまいました。すると不思議なことに、殺気立っていたガーゴイルたちも動きを止め、石像のように固まり、元の位置へと戻っていったのです。


「た、助かったのか……?」


座り込んでいたプレイヤーたちは、呆然とシノを見上げました。

戦闘で勝つのではなく、場の「空気」を調律して解決した初心者の姿に、彼らは目を見開きます。


「……すごいな。あんた、何者だ? ギルドで噂の『モフモフ使い』か?」


「いえ、ただの初心者です……。この子たちが頑張ってくれただけで」


シノが照れながら銀狼の首元をワシャワシャと撫でると、エドワードがカシャンと膝をつき、礼を述べました。


「見事です、シノ殿。貴殿のその慈愛に満ちた調べ、我が主君もきっとお喜びでしょう。……お詫びと言っては何ですが、この城の奥にある『秘密の庭園』への鍵を差し上げましょう。そこには、さらに珍しいモフ……失礼、聖獣たちが憩う場所がございます」


【クエストクリア!】

経験値獲得:Lv.5 → Lv.8

アイテム:『古城の銀鍵』を獲得しました。

称号:『静寂を導く者』を獲得しました。


助けられたプレイヤーたちは「あんな攻略法があるなんて……」と感心しながら街へ戻っていき、シノの手元には新たな冒険の鍵が残されました。


「エドワードさん、ありがとうございます。……ねえ、秘密の庭園だって。行ってみようか?」


銀狼は誇らしげに鼻を鳴らし、ルナ・コットンはシノの頭の上で満足そうに丸くなりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ