表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔王とOLの日常が想像以上にドタバタで困る  作者: 白月つむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/120

第45話 まさかの全員異世界転移!? こんな大逆転聞いてません!

 ——光が弾け、足場が消えた。


 みのりが目を開けたとき、そこはもう日本ではなかった。


「あ、あっくん……ここ、どこ……?」


 隣には、同じように転移の衝撃を受けたあっくんが立っていた。


 風が吹き抜ける。砂混じりの熱を帯びた風だ。目の前に広がるのは、赤褐色の岩山が折り重なる荒野。乾いた空気に、低く唸るような地鳴りが絶え間なく流れていた。


 空は日本よりもずっと高く、雲は淡く光を帯びている。紫と金の混じった夕暮れのような空色が、現実味を奪っていった。


「どうやら……異界のどこかへ飛ばされたようだな。余の世界である確率が高かろう……みのり、それにご両親まで巻き込んでしまい、すまぬ」


「ううん……あっくんのせいじゃないよ。私があの場にいたんだし……もう、こうなったら私とお母さんとお父さんだけ日本に帰る方法探そ! みんなはどこに飛ばされたんだろう?」


 あっくんが周囲を見渡し、表情を険しくする。


「転移の衝撃で散り散りになった可能性が高いな」


 鼓動が速くなるのを感じながらも、みのりは深呼吸した。


「……探さないと」


「ああ。余もそのつもりだ」


「そういえば、ゲートは?」


「ゲートはルカが上手く閉じたようだな。魔物がみのりの世界に渡ってないとよいが」


 赤い岩肌に囲まれた細い道を二人でゆっくり歩き始める。しばらく進むと、風景が少しずつ開けていき、遠くに煙の立ち上る街が見えた。


「街……? あっくん、あそこなら誰かいるかも!」


「行くぞ。情報を集めるべきだ」


 荒野を抜け、石畳の街路が見え始める。


 街の入り口は想像以上に静かだった。人々は足早に歩き、どこか警戒したように互いを避けるような視線を投げる。


 店の看板には見知らぬ文字……なのに、何故か意味が理解できる。転移による適応か、魔王の世界の仕組みか。


 すると、雑貨店の前にいた老人が二人を訝しげに見つめた。


「旅の者かね? 気をつけたほうがいいぞ」


 あっくんは角や翼をしまっているからか、魔王だとは気付かれなかったようだ。


「な、何が危ないんですか……?」


 みのりが尋ねると、老人は声を潜めた。


「魔法だよ。魔力を使う者は……見つかれば即刻、広場で処刑される」


「!!」


 みのりは思わずあっくんを見た。


 あっくんは眉をひそめたまま、静かに質問を続ける。


「何故そこまでの禁忌になっている?」


「勇者リオル様のお達しじゃ。魔族軍が魔法で世界を支配していた頃……あれは恐ろしい時代だった。あの魔王が消えたあとも魔族の残党が各地で暴れ、……だからこそ、リオル様が魔法を完全に禁じたんだ」


 老人の震える声。


 魔王は、ふっと目を細めた。


「どうやら余の不在の間に、世界は大きく変わったらしいな」


 みのりの胸に不安が広がる。


「勇者リオル……あやつが今の権力を握っておるのか」


 あっくんの声は低く、深く沈んでいた。


 老人はさらに続ける。


「それに……最近、禁じられたはずの“大規模魔力反応”が観測されたって噂だ。魔法使いがどこかで禁呪を使ったんじゃないかって……皆怯えてるよ」


 みのりは息を呑んだ。


「……きっとリュカくんだ」


 あっくんが頷く。


「ゲートを繋いだのがあやつである以上、魔力を大いに消費したはず……勇者どもに目をつけられておる可能性がある」


「そんな……! 早く探さないと!」


「もちろんだ。しかし同時に……余も、魔族である以上、姿を悟られるわけにはいかぬな」


 みのりは小さく拳を握る。


(日本とは全然違う……怖い世界になってる……でも、お母さんも、お父さんも、ルカくんも、タヌロフも、リュカくんも……早くみんなを見つけないと!)


「みのり、行くぞ。気を引き締めよ。ここは、余が知っていた世界とは似て非なる地だ」


「……うん!」


 二人は人通りの少ない裏路地へと身を隠しながら、散り散りになった仲間たちを捜す旅を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ