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異世界魔王とOLの日常が想像以上にドタバタで困る  作者: 白月つむぎ


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第41話 “気持ち”採取ミッション:町内会のおばちゃんズ編

 休日の午前中、みのり・あっくん・ルカくんの三人は、町内会館へと歩いていた。


「……緊張する」


「みのり、安心するがよい。余はそなたの母君とも渡り合った男ぞ」


「それは安心材料になるのかな……?」


「僕は……おばちゃん達のテンションの方が怖いです……」


 ドアを開けた瞬間――


「アツシく〜〜ん!!!」


「来たわねぇ、今日も麗しいわ〜!」


「ルカくんもかわい〜〜!」


 いつも通り、いやいつも以上の熱量。


(うん……ほぼアイドル扱いなんだよね、これ)


 三人が会館に入ると、おばちゃんズの視線は一斉にあっくんに集中する。

 みのりは小瓶をそっと手の中に隠しながら、あっくんの隣に立った。


「あの……今日は皆さんに、お伝えしなきゃいけないことがありまして」


 みのりが切り出す。


 そして、あっくんが一歩前に出た。


「余――来月、遠く離れた地へ移り住むこととなった」


「……………………は?」


 沈黙。

 一拍置いて――


「やだやだやだやだやだ!!! アツシくんが!? 引っ越す!?」


「やめてよそんな急に心臓に悪い!!!」


「私らの癒やしがぁぁぁ!!!」


「うちの地域の宝だったのに!!!」


「アツシくんいないと米運び誰がやるのよ!!」


 爆発。

 推しの突然の卒業宣言級の大騒ぎだった。


(ご、ごいすー……!)


 みのりの小瓶がポッと温かくなる。

 ふわりと、光の粒が集まった気がした。


 ――これが“推しの感情”。

 強烈な「好き」「惜しい」「行かないで」の感情は、魔力として濃く、あまりにも純度が高い。


「急で申し訳ない」


 あっくんはまっすぐおばちゃん達を見る。

 表情は穏やかで、しかしどこか凛としていた。


「そなたらの温情、余は忘れぬ。本当は共に祭りを手伝い、重き荷を運びたかった」


「うぅ〜〜アツシくん……!」


「そんな真っ直ぐ見つめられたら、惚れ直しちゃう!!」


「遠くに行っても幸せになりなさいよぉ!!!」


 みのりの手の中の小瓶は、もうぼんやり光っていた。


(……これ絶対、タヌロフが言ってた“濃い魔力”だよね……! あっくん推し、すごい……!!)


「ルカくんも、元気でねぇ……!」


「みのりちゃんも、寂しくなるねぇ……」


「はい……でも、皆さんが良くしてくださったおかげで、すごく楽しかったです」


 みのりがそう言うと


「きゃ〜〜!! みのりちゃんも可愛い〜!」


 と、別ベクトルの歓声が上がった。


 最後は涙目のおばちゃん達に一人ずつぎゅっと抱きしめられ、三人はなんとか解放される形で退出した。


 ◇


 町内会館を出て数歩歩いたところで、


「……みのり。小瓶を見せてみよ」


「う、うん……」


 差し出すと――

 中の光は、今まで見たどれよりも強く、暖かく、跳ねるように揺らいでいた。


「これは……強い好意と惜別の魔力です。純度が高すぎる……」


「うむ。推しの力、おそるべしだな」


「ほんとだよ……」


 みのりは小瓶を見つめながら、そっと胸に抱きしめる。


(ありがとう、おばちゃん達……これ、本当に……すごい力になりそう)

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