表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔王とOLの日常が想像以上にドタバタで困る  作者: 白月つむぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/120

第3話 レッツドン・クホーテ!

 夜の街は静かで、街灯がぽつぽつと光るだけ。

 私はスマホのライトを頼りに、魔王のあっくんを連れて深夜営業のドン・クホーテに向かった。


 「その髪型も日本だとちょっと目立つね……」


 銀色に光る長髪が肩から腰まで流れ落ちている。

 普段の魔王の威厳そのままに、風になびく髪は神々しくもあるのだけれど――ここでの生活には目立ちすぎる。


「ちょっと待って……あっくん、ポニーテールにしてみて」


「……余がか?」


「そう。ちょっとは目立たなくなるかも!」


 あっくんは無言で長髪をまとめ、驚くほど器用に一本に結ぶ。

 シルバーの髪が夜の光に反射して、まるで光の竜が背に舞っているようだ。


「……ふむ。なるほど、人間界ではこういう束ね方が合理的か」


「うん。似合ってる。可愛い」


「可愛い……だと?」


 そんな話をしているうちに、目的地に到着した。

 ドン・クホーテの明かりに照らされた店内で、あっくんは肩幅や腕の太さを棚に並ぶ服と比べていた。


「……ふむ……この世界の布は脆弱だな。小さき生物用にしか設計されておらぬ」


 棚のTシャツを手に取り、腕を通そうとするあっくん。

 でも袖に腕を通すとビリッと布が音を立てた。


「無理だ……腕が通らぬ」


「そ、そんなに力入れなくていいってば!!」


「余の筋力では自然な抵抗にすぎぬ……!」


 次はズボンに挑戦するも、ウエスト部分で引っかかる。丈は膝上で止まった。


「やっぱり魔王サイズはないよねぇ……」


 私は頭を抱えつつ、横であっくんがブツブツ言う。


「人間用の布では余の体に耐えられぬ……。破れる前に何とかせよ」


 すると、あっくんの様子を見兼ねた店員が近寄ってきた。


「サイズ、合わないんですか?」


「あ、あの……ちょっと特別サイズで……」


 あっくんの存在感に圧倒され、店員は小さく退いた。

 身長200センチ超え、銀髪ポニーテール、筋肉質の黒コート姿――不審者感が強すぎる。


「えーっと……大きいサイズ、LL以上……いや、もっと……」


「もっと……? 余のサイズに合うものなど、この世界に存在するのか?」


「あっ、あちらにXL以上のサイズを揃えたお洋服の棚がございますので……!」


 店員はビクビクしながら、巨大衣料コーナーへと案内した。

 しかし、その棚にあるシャツでもあっくんの肩幅と腕の太さは入りきらない。


「……うむ……これは改めて作るしかなさそうだな。人間界の布は脆弱すぎる……」


 あっくんは呆然と棚のシャツを見下ろして、静かにため息をついた。


「私、家庭科の成績2だもん作るのは無理だよ!」


「しかし、それでは……」


 深夜のドン・クホーテで、私は魔王のサイズに合う服を探し悪戦苦闘を余儀なくされた。

 あっくんは言葉少なにブツブツつぶやきながら、肩幅と腕を布に合わせて試行錯誤を続ける。


 その姿を見て、私は思った。

 ――これからの日常、絶対に平穏じゃない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ