第五話:HERO
さて、時は遡り数日前。日本から役11,000km離れたアメリカで密かに人気のオカルトネットサイト・・まぁ、俗に言うUMA目撃書き込みサイトがあるのでございますが・・・
そのネットサイトに一ヶ月前日本に旅行に行ったとされる大学生からの書き込みが話題になった。
その名もBrownDevilNaraPark《奈良公園の茶色い悪魔》
大学生は語る・・・・
「忘れたくても忘れられないよ・・・僕はただとってもキュートなバンビと触れ合っていただけなんだ・・・そしたらいきなり背後からもの凄い奇声とともに現役のス●ンハ●センかと思わせるラリアットが飛んできたんだ・・・驚いて振り向いたらそこにはッ・・・そこにはッ・・う、うわぁああああああ!!!あんな、あんな悪魔がジャパンのパークに居るなんて!!あのパークは危険すぎる!!あんなッ・・・あんなぁあああ!!」
大学生の鬼気迫る書き込みにネット中は騒然となり、奈良公園の茶色い悪魔は恐怖の存在として話題になったのだ
・・・・そしてその張本人が今まさに
「ひーふーみぃー・・・ケェッ!!!5万しかあらへんやんけ・・しけとんのぉこの《ピー》が!!」
幼い私の目の前で外国人観光客の財布から全財産と恐らくはクレジットカードを抜き取り自分の毛皮に仕舞いこむと、どこからかバリカンを取り出し、この観光客のお国のトップの髪型にしだしているのです。
普通の人ならば怯えて逃げ出すことでしょう
しかし、幼い私には
そんな彼が野性味溢れワイルドで
ヒーローのように見えたのです
「・・・お、おじちゃん!!」
「ぬぁ!?びっくりした!!な、なんやこのちっこい白まんじゅうは!!」
「おまんじゅうはすきですけど、ぼくにはムジカってなまえがありますよ?」
「あら~なんや今時の子に限ってちゃんとご挨拶できてえr・・・ちゃう!!!そんなんええねん!!!」
私の言葉におじちゃんは慌てて立ち上がると早足でその場を離れようとしました。きっとおじちゃん的にもいきなりこんな見知らぬ子鹿に呼び止められて気まずさもあったのでしょう
しかし、当時の私は諦めませんでした
「おじちゃんっ!!」
立ち去ろうとするおじちゃんの右足?右手をひしっと掴みなんとか引き留めるとおじちゃんはさらに困惑したように振り向きました
「なんやねんだからぁ!!おっちゃんヒマやなーーー 」
「ぼくを、おぢちゃんのでしにしてください!!」
「・・・・・・・なんて???」