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異世界転生した魔族、権藤健太と名乗る

初投稿です。

((魔王サマァァァァァァァーーーーーー!!!!))


ゴォオオオオオオオ!!!!


ベシャッ!!!!!


タラー…


バサッ…





意識が戻ると、我は冷たい地面に横たわっていた。


そして目の前には白い衣装を着たヒト族の女が椅子に座り、何か紙らしき物を見ながら話しかけてきた。


「はい、種族は魔族で、名前はゴードンさんね。身長が16m、体重が620kg、血糖値少し高めですけど、それ以外の血圧、尿酸値、コレステロール値ともに正常でーす。


あれ?前回の時から体重が200kgくらい急激に減ってますけど、毎日ご飯は食べれてますかぁ?」



ヒト族の女が私の方を見た瞬間、何かを察した様子で再び話しかけてきた。


「あ…前回能力測定した時は、鼻から下と胴体の一部はまだありましたもんね。では許容範囲ですかね♪」


…何を言っているのだ、このヒト族は。

でも目の前の光景は明らかに我が誕生した世界とは違うし、ヒト族に能力測定などされた記憶もない。


((ここはどこだ?どういう状況だ?))


目は見えるが口の感覚がないため心の声で女に話しかけると少し驚いた様子でこちらを見てきた。


「えっと。ゴードンさんはヒト族からの攻撃を受けて死にました。」


…?


「あ、いやヒト族からの攻撃を魔王グレコの代わりに受けて死にました。」


………??


「ちょっとゴードンさん可哀想なので、正確な状況を説明しますと…

ヒト族からの一斉攻撃で危ないと思った魔王グレコがお家で療養していたゴードンさんを召還して、ヒト族からの攻撃をゴードンさんを盾にして防ごうとして、ゴードンさんはヒト族からの魔法攻撃によって即死しました!(もー口が無くなったからって、さっきから心の中に直接話しかけてこないでください。)」


ヒト族の女のイライラした心の声も聞こえてきた。


((そうか、我は死んだのか。いきなり心の声で話しかけたのは申し訳なかった。それでグレコ様は助かったのか?))


ヒト族の女は笑いを堪える素振りを見せながら、

「残念ながら魔王グレコも魔法攻撃によって、しっ死にましたー。クス。」


((なぜ笑う?))


「し、しっ笑、失礼しました。((だってゴードンさんがその場にいてもいなくても魔王グレコは死んだ訳ですし、巻き込まれたゴードンさんはただの死に損ではないですか!アハハハハハハ))」


ちなみに心の声というのは、ヒト族と魔族が争っていた我が世界でも希少な特殊スキルであり、グレコ様に遣えていた我が祖父カーノンがグレコ様の気持ちを理解するために生み出した一家相伝のスキルである。


((グレコ様が死んだのはわかった。そして我が死んだ事も。ではなぜ我はここにいるのだ?))


ヒト族の女は少し正気に戻ったのか、顔の表情が真面目となり、

「ゴードンさんのような理不尽な死に方をされている方に対して異世界病院では次の人生を斡旋しています。

次の人生とは新しい人生ではなく、死にたてホヤホヤの人間の魂と入れ替わり、死んだ人間の続きの人生を生きてもらいます。

そして、その方の人生を完遂できたら、ゴードンさんを元の世界に生き返らせる事ができます。」


そう話すと、ヒト族の顔と職業が書かれた紙を出してきた。


'車に跳ねられて横たわる男、職業ネットカフェ店長'


「ゴードンさんにはこの方の人生の続きを生きる事をお願いします。魔族の人生は500年と言われますが、この方の寿命はあと30年です。

30年の時を人間として過ごしてくれたら、お礼として死ぬ直前のゴードンさんの能力と寿命を倍にした状態で復活させてあげます。いい話だと思いませんか?」


いい話か……我が世界では異世界から転移してきたチートスキル持ちのヒト族が魔王軍と戦う事は希にあるのだが、当然ながらその逆の話は聞いた事がない。



いや、待てよ。


いにしえの魔王には何十年の時を経て巨大な力を得て復活したと祖父のカーノンから聞いた事がある…


もしかすると、いにしえの魔王の復活も…


そしてグレコ様亡き今、我に勝る魔族はもういない。


30年後に我が復活する事ができれば、我も巨大な力を得て新たな魔王として君臨する世界が創造できる…おもしろいではないか。


((わかった。やってやろうではないか。どんなヒト族なのだ?))


その瞬間、ヒト族の女はガッツポーズをし、はしゃぎだす。


「ありがとうございます!では早速ですが、ゴードンさんが転生する方のプロフィールです。


氏名:権藤 健太

職業:会社員(ネットカフェ店長)

誕生日:1988年4月16日(40歳)

身長:170cm

体重:62kg


「ゴードンさんの魂をこの方に移した瞬間、走馬灯のようにこの方の記憶や感情がゴードンさんの心にインストールされますので、この方の残りの人生を生きる参考にしてくださいね。それでは、ファイル転生実行!」


ヒト族の女が右手に持つ丸い物体の角を人差し指で押した瞬間、我は再び意識を失った。


そして我に意識はないが、心の中に様々な声が聞こえてくる。


((友達と遊んでないで勉強しなさい、塾の宿題まだでしょ))


((いい学校に通い、いい仕事に就きなさい))


((今日も午前1時まで勉強したら寝ていいけど、朝6時に起きたら塾の勉強をしなさい))


((模擬テストの結果出ましたよー権藤くんは2問間違っていましたので、顔にバッテンを2つ書きますよー笑))


((この中学校から離れた場所に住んでいるけど、どうやって通うのかな?))


((なんで面接の練習もしたのに答えれないの!!))


((さっきドラクエ3を店で買えてたよね。見てたよ。千円あげるからさっさとよこせよ。))


((ファミコンばっかりやるな!これからは禁止!))


((私のパンツ見てたでしょ最低))


((何アイツいつもチラチラ見てきてキモッ))


((お前、小学校の時俺の彼女のパンツ覗いてたってなぁ殺すぞ))


((勝手に冷蔵庫にあるもんで夜ご飯食べなさい))


((うわ、プールに飛び込む時のアイツの胸見た?デブかだから私より胸あんじゃねキモッアハハハハハ))


((お久しぶりです。昔体型の事で馬鹿にして本当ごめんなさい!大学に就職したんだ、罪滅ぼしのため今度ご飯行かないですか?))


((君よくここに就職できたね?コネか何か?))


((仕事続けるなら別にいてもいいけど、大学生向けの求人企業に就職したいなら斡旋してあげるよ))


((え?辞めるの?勿体なーい。倉庫でファイリングするだけの仕事大変じゃないでしょ、無職になるんだ、じゃサヨナラー。))


((ネットカフェに就職して将来はあるのかい?))


((店長、様子が変な人いるんでブースの中見てもらっていいですか?))


((店長、お客様からダーツ遊戯中に指を切ってどう落とし前つけるんだと大声で騒いでます))


((店長、パソコンの時計がズレていて詐欺だと騒いでいる人がいます))


((店長、なんであの人だかり特別扱いするんですか?好きだからですか?))


((権藤店長さぁ、やる気あんの?))


((権藤店長さぁ、なんで電話すぐ出ないの?君がお休みだからって理由は許されないよ))


………インストール完了


「どこか痛いところはありますかー?お名前言えますかー?」


気がつくと救急隊員が我に必死に話しかけていた。額から血が流れている。足も折れているのか感覚がない。


でもお名前言えますかにはすぐに反応した。


「我輩は魔王軍デスカントリー地区隊長の権藤健太である。」



「頭部外傷による意識障害もあるなこりゃ…」

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