二人目の友達
伊織は普段通りに学校に着いて自分の席に座る。
「おはよう伊織!」
「おはよう伊織くん!」
そしていつも通り祐介が話しかけてくれるが、今日はもう一人いた。
それは祐介の彼女であり、伊織の二人いる友人の一人の【東雲栞】だった。
栞は元気はつらつと言う言葉がこの学校で1番似合うくらいに元気で、学校でも人気者の一人だった。
「おはよう二人とも」
伊織が挨拶を返すと、栞が何かのテキストを見せてきた。
「そういえば伊織くん、数学得意だったよね? 課題のこの箇所がわからなかったから教えてくれない?」
「いいよ、……ここはこの公式を使って……」
伊織はテキストの横に解説を書きながら問題の解き方を教えた。
「あっ! そういうことだったんだね! ありがとう理解できたよ」
「役に立てて良かったよ」
伊織は中学生時代によく体調を崩していて、学校にあまり行けずに自習ばかりをしていたので勉強が得意だった。
そのためよく祐介や栞に勉強で頻繁に二人のわからない所を教えていた。
「それにしても伊織は頭がいいよな。勉強好きなのか?」
「いや、そんな事ないよ……ただ、低い点数取る訳にもいかないから最低限の勉強はしないとと思って……」
伊織は別に勉強が好きと言うわけでもなかったので授業の内容だけで理解できるように勉強をしていた。
「そういえば、伊織は一人暮らしなんだっけか。良かったらなんだけど今度遊びに行ってもいいか?」
「私も行きたい! 祐介が良かったら私も行ってもいい?」
祐介の提案に栞が乗っかって伊織に聞いた。
「うん……来週とかなら別に大丈夫だよ」
伊織は二人に肯定の返事を返すと二人は目を見合わせて喜んでいた。
そして予定通り午前の授業が終わり、昼食の時間になった。
祐介、栞と共に昼食を食べることになり、伊織は自分で作ったお弁当を食べていると一緒に昼食を食べていた栞から声をかけられた。
「伊織くんそのお弁当、自分で作ってるの?」
「うん。僕はよく体調を崩すから流石にコンビニばっかりだとよくないかなって」
「すごいね! この卵焼きおいしそう! 一つもらってもいい?」
「いいよ」
栞がキラキラとした目でお願いしてきたので伊織は苦笑いしながら卵焼きを一つプレゼントした。
卵焼きを食べた栞はジタバタしながら咀嚼する。
「〜!! 美味しいよ伊織くん!」
「それは良かったよ」
伊織は褒められたことが嬉しく、午後の授業は勉強がとても捗ったのだった。