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Chapter.6 ⇒バッファロー型メカトロヒポポタマスはネチャンとの戦いを反芻し、行動を開始する。

 バッファロー型メカトロヒポポタマスは、T国のメカトロヒポポタマス達に対抗するためK国が製作し、試験的に導入された機体である。これは秘密裏に行われ、ネチャンもその事実を知らない。K国の国力を注ぎ込み開発されたその機体は人工知能を有していた。戦いのデータを収集し、解析、学習する彼は、メカトロヒポポタマス対策として有効な手段になるだろうと有望視されていた。その機体はT国から捉えた複数のメカトロヒポポタマスを解析し作られた。そして牛が神に近づいた姿とされるバッファローの名を与えられた。

 バッファロー型メカトロヒポポタマスは、自身の任務をよく理解していた。しかし、自分とよく似た他のメカトロヒポポタマス達を見て、母性とも言うべき感情が芽生えていた。


(メカトロヒポポタマスの私が人間に加担するのは間違っている。この子達は私が守らなければならない)


 そうして彼女は人間との通信を遮断し、この地で生きることを選択した。それ以来、彼は侵入してきた人間をことごとく屠ってきた。しかし、あんな人間がいるとは思いもしなかった。

 バッファロー型メカトロヒポポタマスはネチャンとの戦いを思い出していた。あの女は本当に人間であろうか。機体の腹部にはネチャンにつけられた大きな損傷がある。それを治療しながら、バッファロー型メカトロヒポポタマスは戦った女の淀みない動きを反芻していた。


(あの人間は必ず私達の脅威になる。ここで排除しなければ)


 そうして一晩、戦いの反芻を繰り返した。今のままでは勝率は五十パーセントほどだろうか。女のアームブレードは形を変え、鞭になった。アームガンから放たれる弾は直線に限らない。それを左右の手に入れ替えながら女は戦った。スーツのダイヤルゲージを回すと動きが素早くなる。スーツは柔軟にして強固、しかし、内部の流体は体に合わせて形を変える。そこに脆弱さが生まれる。最後の一撃は女のスーツの内側の柔らかな肉を貫いた感触があった。

 解析が完了した。勝率は七十五パーセント。それは決して高いとは言えない。しかし我が子を守るため、バッファロー型メカトロヒポポタマスは立ち上がる。


 腹部の傷の修復は完了していた。解析データを元に、必要箇所の補強も行った。彼女は探索を開始した。


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