第十五話 妹との再会、そして絶望
第十五話 妹との再会、そして絶望
(うわ。すごい綺麗な人だなぁ。モデルさんか?)
裕也は今目の前にいる美少女に見て、ポカンとしてしまった。
「……あ、あの……。」
「えっ、あっ、す、すみません。」
「あの、近くの小学校にみんな避難しているので案内しますね。」
「あっ、はい。」
裕也はその少女の手を取り立ち上がった。
小学校に着くと、裕也の十一年の歳が離れた妹である高井瑠夏が布を持って立っていた。
「瑠夏!」
「……お兄ちゃん。」
裕也は瑠夏を見つけた瞬間、抱きしめた。
「大丈夫か?怪我とか無いか?」
「うん。」
(何でだろう。瑠夏の目から光を感じない。)
裕也は少し不安になる。
「あれ?そ、そうだ。母さんはどこにいるんだ?」
そう瑠夏に聞くと瑠夏は話し始めた。
「あのね。お母さんとね。大きな牛さんから逃げてたんだけどね。」
嫌な予感がした。そんなのあるわけないと信じたい。でも、どうしても頭の中で最悪の可能性が過ってくる。
「そしてね。牛さんが投げて来た大きな石にね。私ね。当たりそうになったんだ。」
(嫌だ。そんなの嫌だ。)
「そしたらね。私のことを守ろうとしたお母さんの背中に大きな石が当たったんだ。」
(嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。)
「そしてね、お母さん倒れちゃって、そのまま、牛さんに食べられちゃったんだ。」
そう言いながら瑠夏は持っている布の中に入っていた物を見せて来た。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
裕也は頭を抱えて泣き叫ぶ。
だってその布に入っていたのは……。
人の、見覚えのある女性の人の右腕が入っていたのだから。