第十話 妖刀龍神炎
第十話 妖刀龍神炎
埼玉県の山奥にはとある神社がある。ちなみにそこに参拝しに来る人はいない。
俺はさっきの試合が終わった後、玖珂咲達は先に帰ってもらい、その神社に向かった。
そして鳥居を潜ると、金色の鬼のような角が生えた巫女服姿の女が立っていた。
「ほう、この隠蔽術式見破るとはなかなかの術師だな。侵入者め。」
「俺だ。一ノ瀬悪魔だ。」
「え?えっと~?あ⁉︎悪魔様⁉︎す、すみませんでした!その、お姿がすごく成長なされたものですので……。」
一度、すごい気迫を出していたその女は俺の言葉でたちまち俺にひれ伏した。
「大丈夫だ。気にしてないから顔を上げてくれ。たしか、雷鳴鬼と会うのは十年前だったからな。」
この女の名は雷鳴鬼と言って人型の妖だ。ちなみにこの神社を守護している。昔はよく呪術の特訓でボコボコにしていた。
「は、はい。で、では、ご用件は何でしょうか。」
「《《アレ》》を取りに来た。加奈斗を呼んできてくれ。」
「は、はい!」
数秒後、装束を着た同い年くらいの少年が本殿から出てきた。
安倍加奈斗、陰陽師安倍晴明の子孫であり、すごく遠いが俺の血縁である。
「何~?悪魔~?今僕眠いんだけど~。」
加奈斗は眠たそうに目を擦った。
「相変わらずの怠け癖だな。加奈斗。」
「うるさいな~。で、要件というのは“妖刀龍神炎”の事?」
“妖刀龍神炎”とは、一ノ瀬家に代々伝わる妖刀に龍神を術で組み込んだ物だ。
「ああ。」
「んじゃ、こっち来て。」
加奈斗は眠そうにしながら倉庫へ案内した。
(お前も久しぶりだな龍神炎。)
『はい。お久しぶりです。悪魔様。』
心の中に直接男の声が響く。
(元気にしてたか?)
『はい。ずっと眠っていたので。それより悪魔様の中に何か気配がしますね。それも二つ。』
(一つはサンダードラゴンだろうな。もう一つはベルゼブブでもいるんじゃないか?)
『ふむ。一様、サンダードラゴンという者とは交流できるみたいなので暇つぶしの相手として利用しようと思います。』
(似た者同士、仲良くしろよ。)
「その~、再会中に悪いけど、要が終わったなら、早く出て行ってくれない?僕早く寝たいんだけど。」
龍神炎との会話をしてる途中、加奈斗に早くしてくれと言わんばかりに話しかけられた。
「それはすまなかったな。早く出て行くとするよ。」
本当に無愛想な奴だと思いながら俺は神社から出て行った。