17歳の青春
僕は高校生2年生の藤井康介。
田舎に住んでいる普通の高校生だ。
今まで恋愛経験はなく、彼女は疎か、好きな人すらできたことがない。
そんな僕に好きな人ができた。
隣のクラスのみれいちゃんだ。彼女はとても人気者でいつも誰かと一緒に楽しそうに話している。
彼女が廊下を通るたび、僕は教室の中からその愛くるしい姿を目で追ってしまう。
なぜ17年間好きな人ができていなかった僕に好きな人ができたのか、それは廊下での出来事がきっかけである。
廊下で自分のロッカーから教科書を取り出そうとしたら、僕の教科書の山が崩れて地面に落ちてしまった。その時に彼女は話したこともないし、きっと名前も知らないであろう僕に近づいてなにも言わずに教科書を拾ってくれた。
「はいっ」
彼女がそう一言言った。
「あ、ありがとう。」
僕は突然の出来事に驚き、無愛想に返事をした。
それだけ?と思うかもしれないが、女の子と全く話したことのない僕はその出来事だけで彼女にキュンとしてしまった。
優しいな、僕はそう思った。
それから1週間たったある日、
6月末に開かれる体育祭の準備をクラスでしていた。
「やば!あと体育祭まで2週間しかない!」
「みんなでお揃いのTシャツ着よ!」
「いいねそれ最高!」
みんな体育祭のことで盛り上がっていた。
僕は運動が得意ではないので体育祭でテンションが上がることはなかった。
「あ!B組の準備どんな感じー?」
「準備やばいよー!間に合わないかもっ」
声のする方に目を向けるとそこにはふうかちゃんがいた。
「うちらTシャツ作ることにした!」
「えー!私たちもしたい!みんなに言ってくるっ!」
彼女は笑顔で教室を飛び出した。
あ、あのときの笑顔だ。僕はこの前の廊下での出来事を思い出していた。